第6回 基本計画策定委員会 議事録
平成19年1月31日(水曜日)14時00分~17時00分
日野市立中央図書館2F集会室
- 会議録の確認
- 目次(案)にそって討議
- その他
- 次回:2月14日(水曜日)14時00分~17時00分 / 多摩平の森ふれあい館 2F 3-1、3-2を合体使用
日野市立図書館基本計画策定委員会 第6回議事録
日時
平成19年1月31日(水曜日) 14時00分~17時00分
場所
日野市立中央図書館集会室
出席者
- 山口徹雄、濱田陽子、久保田正子、阿部臣彌、小林卓、中村美智子、小林美和、坂井喜代子、米田裕治、平義彦、小澤昭道、高橋誠、二村健(委員長)、田中繁夫(副委員長)
- 事務局(川口、鬼倉、清水、星、飯倉)
- コンサルタント 山口(記録)
- 1.資料確認等
- 議事録の確認と公開について
- 第4回議事録の訂正箇所を確認し成案に決定。
- 第5回議事録の訂正箇所を確認。次回までに修正点を事務局に提出し、次回委員会にて確定する。
- ミニワークショップの結果の報告
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- 資料説明.
- (以下は補足説明部分) 図書館という政策は個性的で、世の中の動きと整合しにくい部分がある。たとえば、官と民、費用負担と公平性、など。図書館は福祉や教育との連携やまちとの関係などが求められている。図書館だけでサービスが成り立たないとすると、その部分の整理が必要になる。(コンサルタント)
- 「貸出中心からの変更」の表現は、大きなことで、まだ議論していないので適切ではないのでは。(小林(卓))
- →この表現は保留とする。ミニワークショップの成果は参考としていきたい。(二村)
-
- 前回資料の訂正意見等
- 【貸出偏重の表現について】
- 日野の図書館計画で触れる必要はないので削除したい。貸出とレファレンスのどちらを重視すべきかとのとらえかたに異論がある。図書館の資料提供は、「貸出」と「レファレンス」の両輪で成り立っている。日野は地域に根ざした取り組みやレファレンスサービス、障害者サービス、市政図書室などの活動を行ってきた。よって「変わる」より、図書館本来の役割を「深め浸透させていく」ことと考えたい。(鬼倉)
- →公開すると全国の議論がわき起こり批判が予想されるが、議論を避けるために削除するべきでない。事実の確認を含めて中身の議論はあって良い。(二村)
- 市民にはよくわからないので、貸出偏重で何が問題かの説明を。(坂井)
- →図書館界の集会や学術的な文書の中で「貸出し偏重」という表現が使われたり議論になることが実際にある。具体的には、要望の多い本を沢山用意して貸し出すことの是非や、他サービスがおろそかにならないかなどが問われる。貸出だけが良くても良い図書館とは言えないが、貸出が悪ければ良い図書館ではないとの認識が関係者にある。ここの表現は日野の図書館を評価するためのものではない。日野の取り組みは70年代のモデルとして優れていたことに異論はない。徹底的に貸出を重視した取り組みが時代に合っていたが、状況変化の中で新しいパラダイムをつくっていく必要があったと考える。(二村)
- →日野では極端な複本は行われていないので問題にならないのでは。貸出をすることで他のサービスの低下を招くことが実際あるのかどうかの確認を。(小林(卓))
- →読者はそこまで深読みしないのでは。普通に「今までは貸出を重視してきたが、今後は時代にあったサービスに取り組むことも必要」と読める。(米田)
- →当事者としては貸出しの数だけを問題にしてきたことはないが、貸出の数だけに注目が集まっているように見えるところが問題では。(飯倉)
- →60年代後半から70年代までは、貸出中心の図書館であることが最善であった。90年代以降、あふれる情報を図書館がリードしきれなくなった。これからはメディアとどう協調していくか、メディアを図書館がどうリードしていくのかを考えるべき。(中村)
- →後に続いた図書館が日野をモデルに新しい考え方を組み込んできたのが失速の原因。常に先頭を走っていたからこそ方向転換しにくかったのでは。日本全国で見れば、図書館の抱える問題はいろいろある。出版界の取り組みとの関係も見逃せない。(久保田)
- 日野の取り組みが悪者であったようにも受け取れる記述は削除するか直した方がよい。(山﨑・坂井)
- →停滞を招くという表現に代えて、新たなブレークスルーや新たな枠組みをつくり出せないでいることとそれが今必要とされていることを書けばよいのでは。(山口)
- →言葉を工夫して書き換える。(二村)
- 【図書館一般論と日野図書館との記述の区分を】
- 本来の図書館の役割をしっかりやっていくという視点にしたい。(鬼倉)
- →資料4は、我が国の公共図書館のありかたを一般論として示そうとした。日野市立図書館については、資料6で表現したい。(二村)
- →サービスはその時代のニーズに合わせて用意されるべきだろう。とすると、「深める」より「変わる」の表現の方が良い。一般市民向けに出して欲しいことを以前お願いした。市民参画による議論にふさわしい表現としていきたい。(米田)
- →一般論と日野市立図書館の項目立てを工夫すれば良いのでは。(田中)
- 【公共図書館が変わるのか深化するのか】
- 公共図書館が変わるを役割を果たすに変えたい。(鬼倉)
- →不易流行は、変わっていくものの中にも本質があることを言う。深めていくことと考え方にズレはない。むしろ積極的に変わっていくことを前面で出したい。(二村)
- 【インターネットサービスの必要性について】
- インターネットにつながらないと社会生活に支障が生じるので、インターネットの接続できない人へはサービスが必要という主旨の表現にしてはどうか。(山口)
- →異論なし。(二村)
- 【枠組みの議論について】
- 日本の図書館の状況や在るべき論を是として日野のことにつなげていくと議論が窮屈になる。抽象論だけではだめ。抽象化する作業は具体的な意見を煮つめてからにしてはどうか。前提条件を固めると自由な発想がしにくくなる。(阿部)
- →日本の図書館がどうあるべきかの枠組みは日野の図書館にも関わるので整理が必要。国の考え方を引用しながらつくっている。(二村)
- 成人に対するサービスについて
- ※基礎データの説明(略)
- 【成人サービスの扱い】
- 成人に対するサービスを充実させるなら限りなくやることがある。やや後ろ向きながら、他の図書館や有料サービスに任せて、日野の図書館でできることに資源を集中する(成人に対するサービスは重点を置かない)という選択もあるのでは。(山口)
- →図書館の基本的なサービスは当然で、ビジネス支援、医療・法務情報サービス、子育て支援などは他都市でもやっていることなので取り入れてもよい。なお、日野ならではのサービスを打ち出せるのが望ましい。(二村)
- 【ビジネス支援】
- 勤務中ネット上の情報に接する機会は少ないのでは。帰宅途中や帰宅後に簡便にアクセスすることを考えると、PCの配置(登録制)、コンビニでアクセスできたり配本センターになったりと、利便性を上げると良い。(阿部)
- 一般企業で市場調査や製品開発などに携る人たちの情報ニーズを肩代わりするように対応する機能は公共図書館で持てないだろうが、日野市立図書館だけでできるかどうかは疑問ながら、産業統計等の基礎情報を用意することはありえる。(阿部)
- →図書館界で言われるビジネス支援では、ベンチャーなどの起業支援を指す。(小林(卓))
- →地域性にもよる。地元の商工者からの経済活動に直結する問い合わせが多いことに気づき、ビジネス支援を提案した浦安では、市民の気づきを促した。医療情報支援では、患者の身近な人が闘病日記を読むと期待したが、実際には、看護師のニーズにマッチしたという。どこでもやっていないことを提案しても良い。(二村)
- 多摩平商店街など、自営業者の団体(商工会議者)とのタイアップはどうか。農業関係の組織とではどうか。(阿部)
- →声かけだけでなく具体的な取り組みを提案するところまでやる必要がある。鳥取県南部町の図書館では、ハローワークの求人情報や市の無料情報をファイルして需要を喚起した。(二村)
- →4月から中央図書館で就労支援の情報を置く(計画)。日野図書館では、来年度「まちおこし」として、地域の商店会と連携して日野周辺の過去と現在の写真を募集して提供したり、聞き書きをする取り組みを予定している。(鬼倉)
- 【病院・福祉施設へのサービス】
- 日野の市立病院の入院患者や待合室の患者のための文庫とさやか学級のさやか文庫の充実に取り組んでいる。浦安の団体貸出のような病院への働きかけはできないか。病院のプレイルームでお話し会などの取り組みを行っている自治体もある。(久保田)
- →現在七生病院のみ行っている。(星)
- →医療施設に対するサービスがあることは認識に止まっている。高齢者デイケアセンターに本を提供して喜ばれている。(鬼倉)
- 多摩療護園の子ども達に読み聞かせをやっている。図書館から年1回来ているが、団体貸出と読み聞かせの回数を増やして欲しい。(坂井)
- 【ひまわり号によるコミュニティの活性化効果】
- 成人のターゲットとして、抜けているターゲットがある。利用の多い30代の女性などの来館者だけではないはず。地域をまわるひまわり号の効果も大きいのでは。(濱田)
- →前回資料によれば、ひまわり号の貸出総数は全体の1%。事実として受け止めれば歴史的な使命は終わったと言わざるを得ない。(二村)
- →ひまわり号のまわりで子どもが遊び、親たちが交流しコミュニティを形成してきた。貸出数に現れない価値がある。ひまわり号が地域に出向くことで保護者に同伴されている乳幼児という新しい利用者を確実に獲得している。びまわり号を存続させることによって今後も増やすことが予想できる。また彼ら以外にも新しい利用者を開発できるチャンスがあるはず。不易流行の基本にひまわり号をいれたらどうか。カウンターで待つのではなく、ビジネスでも客の所に出向いて心をつかむもの。(坂井)
- →ひまわり号を活用する方向を考えたい。あとの施設計画でも扱う。(二村)
- 【中高生の親の関心事】
- 近隣の大学の行事や学生生活を知るための情報源として大学案内があると良い。(坂井)
- 【地元企業情報】
- 地元企業の仕事の紹介コーナーをつくったり、話しをしてもらうと良い。(坂井)
- 成人に対するサービスの幅は広い。その都度出して欲しい。(二村)
- 【提案型で需要を喚起する】
- 供給が需要を掘り起こす場合が図書館ではある。図書館が提案して需要を掘り起こすことを考えてはどうか。(小林(卓))
- 【市民が運営に関わる】
- サービスの受益者として、サービスを提供する側の体制やコストを考えると難しい面があろう。市民参加という形で市民が関わることが必要だろう。ボランティアが市のサービスの下請けになるのではなく、自らにフィードバックされる仕組みになることが望ましい。(阿部)
- →運営計画で扱う。(二村)
- 公共サービス一般論では、税に見合ったサービスであるかどうかが厳しく問われる時代になっている。図書館法の基でも世の中の流れに沿っていくことが求められる。将来の建替えや大規模修繕を考えれば、費用の捻出は大きな課題。予算獲得には納税者の理解と納得を得ることが必要。この観点から、成人をサービスの対象ととらえ直すことが大事になる。サービスの意図は2つある。第1は、現在図書館を利用しない人たちを呼び込むこと。第2は、図書館を利用しないながらもその価値を認め・納得してもらうこと。後者の例では、子どもの来館・退館を保護者にメールで知らせることや、市役所エレベーター内に掲示している新聞見出しリストを携帯宛に発信するなどのサービスが考えられる。(コンサルタント)
- 成人に対するサービスのアイデアがあれば今後も提案を。(二村)
- 【目にとまる工夫】
- 人が必ず通る図書館のエントランスやカウンターまわりは大事な場所。日野のホットな話題を目につくように出してはどうか。目に訴えかける工夫が必要。(米田)
- 駅で情報提供することはできるか。(二村)
- →駅の掲示板は日野の行事情報が中心になっている。(小澤)
- 【図書館へのPCと周辺機器の設置】
- 書籍とインターネットの両方が使えるメリットが大きいので両方使える環境があると良い。(二村)
- 各館に無線LANを整備した。現在していないがフィルタリングは必要と考える。著作権がからむのでプリントアウトはさせない。利用状況(使用者と利用時間)を記録している。多摩平のブラウジングコーナーに設置するには図書館閉館後の管理が問題になる。(鬼倉)
- →端末の台数が多くある方がいい。PCの電源を借りたい。(二村)
- →電源については庁内の了解が得られなかった経緯がある。(鬼倉)
- 無線LANできることが十分周知されていないのでは。(二村)
- →無線LANの利用はどうか。無線LANの設定が難しいのではないか。(小林(卓))
- →無線LANに関する問い合わせが中央館では2件ほどあった。図書館内に持ち込みPC利用専用席はない。利用実態はほとんどないと思う。(飯倉)
- 図書館がやるべき範囲を超えないように。(中村)
- 【日野独自の取り組み-農と食育】
- 農業者が結構いる。農業者のニーズを探る価値があるのでは。(山口)
- 成人は地域との密着性が希薄になることがあるので、日野に愛着を持ってもらう切り口があるのでは。(山口)
- →農業者のことは日野市の大きなテーマ。農業基本条例を全国に先がけてつくった。農業者と農業支援者が対象になるのでは。(米田)
- →日野は給食日本一になった実績がある。農業者と共につくる学校給食などの新しい取り組みにあたって情報支援ができるのでは。(小林(卓))
- 食育がキーワードになる時代。給食は自校方式をとっている。(米田)
- →高齢居住者のため多摩平には週2回農業者が野菜を持って来てくれる。ひまわり号と同じ。車の到着前に人が集まって自然な交流が生まれている。(久保田)
- →農業従事者など就業人口構成の情報を。(二村)
- 【日野独自の取り組み-郷土史の発掘】
- 日野の図書館がリーダーとなってできることとして、18年度から日野図書館で市民と一体となった郷土史の発掘・編纂を始めた。(中村)
- 【日野独自の取り組み-市政図書館の新聞記事情報】
- 市役所のエレベーターに貼られている日野の記事見出しは良い。(小林(卓))
- →市政図書館でやっている。各館に広げたい。(清水)
- →携帯宛に配信できないか。(コンサルタント)
- 【日野独自の取り組み-コンビニの利用】
- 中高生への親への支援やコンビニへの配本などを具体化したいが。(二村)
- →コンビニで本を予約し買うことがある。(久保田)
- シニアへのサービス
- 【移動手段に制約のある高齢者への配慮】
- 車の運転ができないことなどにより、高齢者は活動範囲が狭くなり、地域格差が起きる。公共交通サービスの充実などの配慮を。外の空気に触れるためにも図書館に行きやすくする仕組みを。(山口)
- 【高齢者サービスの望ましいアクセス圏域】
- 日野市の高齢者はおよそ32,000人で高齢化率は19%弱。前期高齢者(65~74才)が約20,000人で後期高齢者(75才以上)が12,000人いる。ひまわり号の利用者アンケートでは、徒歩10分以内に図書館があれば利用すると答えた人が過半数だった。半径500m位がひとつの目安になると考えている。(平)
- →移動図書館に関する調査の資料を次回用意する。(川口)
- 【在宅型高齢者への支援】
- リタイアする高齢者の中には、外に出たくない人もいる。PCで予約して宅配サービスを利用するシステムはあるが、PCを使えない人も多い。ボランティアがかわりにPCにアクセスし、本を届ける仕組みはできないか。出たがらない人へのサービスなどきめ細かなケアを望む。(中村)
- →配本サービスは図書館に来られない人を対象にしている。(鬼倉)
- →日野は健康の予防に力を入れている。どうしたら高齢者を屋外に引き出せるかがカギ。市の他部門の事業とタイアップさせるのが良い。(久保田)
- 【ひまわり号】
- 高齢者の夫婦や独居老人が増える。特に丘陵地ではひまわり号が生きてくるだろう。図書館バスもあって良いが、図書館サービスの利用を保障する為、ひまわり号の巡回と配本サービスの継続を望む。(阿部)
- →正確にはわからないが、調査等により、実質独居老人はおよそ3,000人から4,000人位いるのではないか。(平)
- 【地域コミュニティサービス情報】
- 生涯学習の機会に関して、個人の絵画・書道などの塾の情報を。(小林(美))
- →地域のコミュニティサービス情報は大事。(二村)
- 【介護者への情報提供サービス】
- 介護する側への何らかの支援はないか。(山口)
- →介護者のサークルがある。カウンセリングの資格を持つ人に来てもらっている。(久保田)
- 【活動する人との出会いの場の演出-コミュニケーションの促進-】
- 昼過ぎの図書館は中高年の利用が多い。共通のテーマでコミュ二ケーションをしたいという欲求があるのでは。押しつけがましくない範囲でサービスができると良い。日野の盛んな市民活動と緩い連携によってグループづくりのキッカケを用意できないか。(阿部)
- 日野図書館では、(分館長が同席の上で)閉館後に郷土史研究などのグループ活動をしている。生涯学習の拠点としてキッカケの場になっている。(阿部)
- 市民活動との連携は有効では。市民活動団体の名簿がある。(久保田)
- 【学校図書館の活用】
- 学校図書館を高齢者の居場所として活用を。(山口)
- 障がい者向けサービス
- バリアフリー化は当然。車いすが利用できるサービスを。(二村)
- ハンディキャップ・サービスと呼ぶところもある。その人に合った的確なサービスが受けられるように。視覚障がい者には点字化サービスを用意するなど、各セクションが相手に応じた方法で情報を出すことが大事。今は点字化が必要になった部署が図書館に発注する仕組み。(久保田)
- →来年度予算では、各部署の予算で点字と音声化することになった。(小澤)
- →次回も議論を続ける。(二村)
- 多文化サービス
- 多文化サービスはこれまでに無いことなので全てが新しい取り組みになる。基本計画レベルでは例えば1%位の外国人を想定した努力目標をおくといったことでも良い。外国人登録の上位を占める中国人へのサービスがあっても良いかもしれない。(二村)
- 3.その他
- 市民アンケートの単純集計結果を配布している。ぜひ、ひまわり号のサービスを現地で見て欲しい。(濱田)
- 除籍される図鑑類があったらさやか学級に持って行きたいので取り置きを。(久保田)
- 次回 2月14日(水曜日)14時00分から 多摩平の森ふれあい館にて開催する。
以上