図書館員の本箱 ひろば2026年3月号
更新日:2026年2月28日
『スーホの白い馬 モンゴル民話』
もうすっかり大人になってからのこと。ふと…この絵本を思い出したのです。この物語に出会ったのは、小学校低学年の国語の授業で、だったと思います。
遊牧民の少年スーホが暮らす大草原…モンゴル…。どこにある国かもわからず、でも、この遠い国になぜか惹かれるものがありました。あれから長い年月が過ぎ、「モンゴルに行ってみたい」そんな思いが、私をもう一度、絵本「スーホの白い馬」を手にすることになりました。
絵本の表紙画は、砂漠色の大草原を背景に、赤いモンゴル衣装(デール)をきた少年(スーホ)が、白い馬を抱えています。スーホの頬っぺたはちょっと赤くて、白い馬をいとおしい眼差しで見ています。
物語は、スーホが弱っている白い馬を草原で見つけ、心をこめて世話をし、大自然の中でたくましく育っていく様子が描かれています。立派に成長した白い馬は、まちを治めている王様の競馬大会に出場して優勝しますが、王様の命令でスーホから奪われてしまいます。しかし、白い馬は都を逃げ出し、草原をさまよい、スーホのもとに帰ってきます。しかし、逃げ帰る途中で矢に射られてしまい、瀕死の状態でスーホの腕の中で死んでしまいます。スーホが悲しみに暮れていると、白い馬が夢に現れて、自分の体で「馬頭琴」という楽器を作ってほしいと告げ、その通りに馬頭琴を作り、その音色を奏でることで白い馬と心を通わせます。
物語と絵から、モンゴルの風を感じ、馬頭琴の音色が聞こえるような、心に温かく伝わってくる絵本です。
「モンゴルに行ってみたい」思いが叶い、遊牧民の暮らすモンゴルに旅をしました。「スーホの白い馬」の絵本と同じ大草原に包まれながら、子どもの頃の自分と同じ気持ちでいられるのは、この絵本に出会ったことが自分の感性を温めてくれたのだと思います。大切な一冊となりました。(S)
