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図書館員の本箱 ひろば2025年8月号

更新日:2025年8月12日

『いるのいないの』 怪談えほんシリーズ3

京極夏彦/作 町田尚子/絵 東雅夫/編 岩崎書店 2012年2月

 今年もまた、暑い夏がやってきました。夏といえば涼を求めて、クーラーつけたり、アイなど冷たいもの食べたりと暑さをしのぐ工夫を色々とするかと思います。 そんな涼を得るために一つ怪談はいかがでしょう?
お勧めするのは大人向けの絵本として書かれた、怪談絵本シリーズ。このシリーズ2011年から始まり、今のところ全14冊が出ています。NHKでアニメ化もされていたりします。その中でも今回紹介するのは自分の中では一推しの、シリーズ3作目「いるのいないの」です。皆さんご存じのホラー作家で妖怪大好き京極夏彦さんと猫の絵がとても素敵な絵本作家の町田尚子さんが手を組んで書いた絵本です。

『おばあさんの古い家で暮らすことになった「ぼく」。ある日、家の梁の上の暗がりを見ていた「ぼく」は…』。

 田舎のおばあさんのうちにすむことになった「ぼく」が体験する、なんてことのない日常にふと紛れ込む怪異。広く古い家、ふと家の高い天井の暗がりに目を向けると住んでいるのは「ぼく」とおばあさんだけのはずなのに…。誰もいないはずなのに何かがいる気配、そういった経験ありませんか?気になると目を向けずにはいられない。怖いのに見てしまう。実に京極さんらしい「恐ろしさ」を見事に描いています。また、それに町田尚子さんの絵がはまっている。
 ぜひ、手に取って見てください。ひんやりと涼んでもらえたなら幸いです(S)