美しい街
更新日:2020年6月1日
『美しい街』
夏葉社
2017.2
この本の巻末エッセイを書いたのは、能町みね子さん。能町さんは、大学の授業で尾形亀之助の詩に出会いました。「余白だらけの詩」が能町さんの生活に在るようになってから数年後、「泉ちゃんと猟坊へ」という散文をなんとなく読んだとき、「息が止まるような心地」がしたそうです。自分のために書かれたとしか思えなかったから。
「泉ちゃんと猟坊へ」は、自分の子どもたち(だったと思う)へ送った手紙のような作品。「又、さきに泉ちゃんは女の大人猟坊は男の大人になると私は言った。が、泉ちゃんが男の大人に、猟坊が女の大人にというように自分でなりたければなれるようになるかも知れない。そんなことがあるようになれば私はどんなにうれしいかわからない。」
いつの間にか刷り込まれた思いこみに絡めとられていないだろうか。自由な空気を感じたいときこの詩集を開きます。(H)