天涯 第1 鳥は舞い光は流れ
更新日:2020年5月23日
『天涯 第1 鳥は舞い光は流れ』
スイッチ・パブリッシング
1997.10
もうお読みになった方も多いと思いますが、「おすすめの本は?」と聞かれると必ず沢木耕太郎さんの『深夜特急』と答えています。(以前も載せてしまったので今回は違うものにしました。)
沢木耕太郎さんの初の写真集が出版されると聞き、当時自分で購入しました。もう20年以上経つのかと驚きました。
写真も感じ方は様々ですが、私にとっては行ったことのない街の音やにおい、温度のようなものが感じられ、心は遠い異国へと旅立っていけるのです。
また、写真集なのですが、ところどころに文章が出てきます。時にスタインベックやトーマス・マンの作品の一部が引用されていたり、それがまた写真に合っていてひと時旅の世界に浸れます。
メキシコシティの空に浮かぶ満月の写真の横に添えてある文章には、小説版『2001年宇宙の旅』の引用があり、著者の文章が続きます。"これほどの時空の広がりはないが、私にも似たようなひとつのイメージがある。それは、誰にも、この世のどこかに、「いつか自分はここに来ることになっていた」と心の底から思える場所がひとつある、というものだ。ここに来るために旅をしてきた、あるいは、ここに来るために生きてきたのだ、という...。"
皆さんにはもうそんな場所がありますか?
スイッチ・パブリッシング発行のものは3冊出ていて、後に集英社から文庫版が6冊出ています。写真集なのでどこから読んでも大丈夫と思います。(K)