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国立科学博物館のひみつ 地球館探求編

更新日:2020年5月7日

『国立科学博物館のひみつ 地球館探求編』

成毛眞/著

ブックマン社

2017.3

「かはく」が好きだ。古今東西、大きさもジャンルも様々なたくさんの展示に圧倒され、ただ立っているだけでも楽しい。なかでも一番好きなのは地球館地下2階の展示室に浮かぶ巨大なカメ(アーケロン・イスチイロスという名前らしい)。真下から見上げる甲羅のかたちがとにかくかっこいい。

そんな国立科学博物館、科博の魅力が詰まっているのがこの本。展示に携わる研究者による解説や、隠れた見どころの紹介、裏話など、まさに盛沢山の1冊だ。

例えば、カメと同じく地下2階展示室にある一見なんだかわからないらせん状の化石。実は動物の巣なのだそうだが、あんまり研究者を困らせたので「悪魔のコルク栓抜き」なんて愛称がついているとか。研究者の苦労を思いつつもついクスッと笑ってしまう。

展示にこめられたこだわりを知ることができるのも面白い。影を見せるための照明演出、トリケラトプスの肘の向き......などなど、目立たないところにある工夫の数々があの魅力的な空間を創り出しているのだ。今まで気づいていなかった姿を知ると、ますます科博が好きになる。

この本では地球館を中心に、筑波実験植物園、付属自然教育園などの施設が紹介されているが、2015年に出版された『国立科学博物館のひみつ』では日本館を中心に紹介されている。科博のバックヤードである筑波研究施設での取材や、2001年から2012年まで約15年分の特別展をチラシで振り返る章もあり、こちらも読みごたえがある。

国立科学博物館では、4月24日から展示室の3Dビュー映像が見られる「おうちで体験!かはくVR」を無料公開しているそうだ。ぜひ本と合わせて楽しんでほしい。(A)