本日は、お日柄もよく
更新日:2020年5月6日
『本日は、お日柄もよく』(徳間文庫)
徳間書店
2013.6
お仕事小説が面白い。
"コピーライター"という職業は、よく耳にしていたが、"スピーチライター"という仕事については、この本を読んで初めて知った。
主人公である二ノ宮こと葉は、幼馴染の結婚式で、伝説のスピーチライター久遠久美によるスピーチに衝撃を受ける。こと葉は、ほどなくして、友人の結婚式でスピーチをすることとなり、久遠久美から教えを受けてスピーチを行う。これを契機に、こと葉がスピーチライターとなり、成長を遂げていく様子が描かれている。
この作品の中で、こと葉のスピーチライターとしての成長ぶりにはもちろん目をみはるものがあるが、久美がスピーチライターになるきっかけを回想する場面には、目頭が熱くなる。人は、絶望の淵に立たされ、そこから立ち上がろうとするとき、誰かにかけてもらう言葉が励みになるのか・・・。
話がテンポよく進んでいくので、一気に読めた。(K)
※スピーチライター:世の中のできごとをみつめ、人々の心になり変わって、冷静に、客観的にかつ感動的にスピーチの原稿を書いて、スピーチそのものを演出する(本文より)