極め道 爆裂エッセイ
更新日:2020年5月2日
『極め道 爆裂エッセイ』
光文社(光文社文庫)
2007.6
三浦しをん・エッセイ第一弾。
著者の作品は、小説より初期のエッセイを先に読んでしまった私には、三浦しをんさんは、大酒飲みで、ひねりのきいたオタクとインプットされています。(あくまで個人の感想です)
読んでいると、気の合う友だちとお酒を飲みながら話している気持ちになります。
日常の(どうでもいい)出来事や、町で見かけた人や、読んだ本(漫画)についてユーモアたっぷりに報告してくれる友だちに、「そうそう」「わかるわかる」「いるよねー」とはげしく同意し、なぜそんな行動をするのか分析しあい、話を膨らませ、妄想小芝居をする・・・・お酒がすすみます。
出てくるたとえや話題が、「兄弟仁義」や「小さな恋のメロディ」結構昭和です。だから読みやすいのでしょうか。
ワンピースを買おうか迷って何度もお店に通っていたのに、誰かに買われてしまった時の心境を、「サッカー部の憧れの先輩を、図書館の窓からずっと眺めている。そして先輩に彼女ができたことに気づく・・・」と表現したり、小鳥からエサを横取りするカラスにいきどおっていたはずが、ずっと見ているうちに、カラスの気持ちになってきて、カラスの夫婦のアテレコをしたりしています。
この本で一番気に入ったのはTVドラマ「大草原の小さな家」のチャールズ父さんとアルマンゾの違いについて書いているところ。主人公ローラは、一見チャールズ父さんに似たタイプのアルマンゾを夫に選んでいますが、アルマンゾにはチャールズ父さんにある何かが欠如している。それは知性だと。男はマッチョなだけではダメだ、ローラ見る目がないぞ!と。アルマンゾに何か違和感を感じていた私は思わず膝を打ったのでした。
でも、チャールズ父さんほどの男はそうそういないですよね。イケメンで、家も自分で建てて、ワイルドで、家族思いで。TVドラマの視聴者にとっては理想の男性でした。(あくまで個人の記憶です)
読み返してみると、小説作品へつながるような記述を見つけて、また楽しめました。
若いみなさん、古い話ばかりで申し訳ありませんでした。(H)