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テキスト版【図書館基本計画】

くらしの中に図書館を
-市民に役立ち、共に歩む図書館-

図書館基本計画

平成20年8月

日野市教育委員会

目次

はじめに1
1.日野市立図書館活動のスタートと今1
2.計画策定の目的と位置づけ1
3.前提条件2
4.まとめ方と構成2
*日野市立図書館基本計画の構成3

第1章 日野市立図書館の現状5
1.市民アンケート等の分析から見た利用者5
2.図書館を取り巻く時代変化のキーワード6
3.現場から見た課題6
4.今、日野市立図書館の置かれた状況7

第2章 基本理念・方針8
1.基本理念8
2.日野市立図書館の任務8
3.基本方針8

第3章 重点的な取り組み10
1.新たなサービス展開の拠点として新中央図書館の建設構想を進めます10
2.時代に合わせて既存施設の改修を進めます10
3.移動図書館ひまわり号の活用を図ります10
4.図書館サービス網の拡大・整備に取り組みます10
5.すべての利用者への基本的なサービスの一層の充実を図ります10
6.潜在的な利用者のニーズを満たすサービスの充実に努めます11
7.市政図書室による行政情報提供の充実に努めます11
8.関係機関との連携・協力の強化を図ります11
9.課題の発見・解決に取り組み、市民と共に歩む図書館運営組織づくり11

第4章 部門別計画12
1)サービス計画12 
2)施設計画36
3)運営計画40

付 計画の検討経過

はじめに

1.日野市立図書館活動のスタートと今

昭和40年(1965年)9月21日朝、市役所七生支所の前をスタートした移動図書館ひまわり号は、高幡不動で交通安全の祈願をすませたあと、若宮町の市営住宅(現市営川原付団地)へ向かいました。これが日野市立図書館のはじまりです。
9月中の貸出2,883冊。10月8,491冊、11月11,067冊。1日5箇所、週5回の巡回で、貸出数は急速に伸びていきました。当時、図書館を建物でなくサービスそのものととらえ、次の3つの方針を掲げた(『業務報告 昭和40・41年度』)日野市立図書館の活動は、市町村の図書館のモデルケースとされました。
* 貸出の重視
* 全域へのサービス
* 資料が第一
昭和41年(1966年)、市民一人当たりの貸出数で日本の公共図書館のトップになりました。その後の活動も市民の声に支えられ、現在は移動図書館に加えて中央図書館と7つの分館からなる図書館に成長し、平成18年度(2006年度)の貸出数は市民一人当たり8.52冊となっています(一人当たり貸出冊数では、人口15万以上20万未満の52市区中10位(平成17年度(2006年度)))。
近年、少子・高齢化の進展、人口減少社会への移行などの社会構造的な変化の中で、市民や民間との協働による地域経営、自立的な市民の形成が求められるようになってきました。
また、国は平成17年(2005年)に文字・活字文化振興法を制定し、文字・活字文化が、知識・知恵の継承及び向上、豊かな人間性の涵養、健全な民主主義の発達に欠くことができないものであることを明確にしました。
このように、図書館を取り巻く環境が大きく変化しつつある今、日野市立図書館の今後のあり方をここに示し、さらなる飛躍を目指します。

2.計画策定の目的と位置づけ

(1)目的
図書館に求められる変わらぬ役割と時代が求める役割を整理し、以下を明確に示すことを目的とします。
* これまでの図書館事業を振り返り、総括すること
* 市民の意見を図書館活動に活かすこと
* 現在の図書館が抱える問題をとらえ、今後の図書館のあり方を示すこと
* 取り組む内容を具体的に示すこと
(2)位置づけ

この計画は、第4次日野市基本構想・基本計画「日野いいプラン2010」(平成13年(2001年)3月)に
基づいています。
第3次日野市行財政改革大綱(平成18年(2006年)10月策定)において、「(仮称)図書館基本計画を
策定し推進する。」と位置づけられ、再び日本一といわれるサービスを目指す方針が示されました。

3.前提条件

以下を前提に、計画を策定します。
* 図書館法(昭和25年(1950年)法律第118号 平成18年(2006年)6月2日改正法律第50号)
* 図書館の自由に関する宣言(昭和29年(1954年)採択、昭和54年(1979年)改訂)
* 文字・活字文化振興法(平成17年(2005年)法律第91号)
* 計画期間は、平成19年度から5年間

4.まとめ方と構成

(1)計画のまとめ方
この計画は、図書館基本計画策定委員会(公募委員8名、有識者2名、市役所職員10名)による19回の討議と、平成18年(2006年)12月から翌年1月にかけて行った市民・来館者・中学生・高校生を対象とした各アンケートによりまとめました。

(2)計画の構成

この計画は、以下の構成としています。

はじめに
第1章 日野市立図書館の現状
第2章 基本理念・方針
第3章 重点的な取り組み
第4章 部門別計画
1) サービス計画
2) 施設計画
3) 運営計画
参考資料等

※【日野市立図書館基本計画の構成】図を省略

第1章 日野市立図書館の現状

日野市立図書館の現状について以下に掲げる3つの視点からまとめてみました。

* 市民アンケート等の分析から見た利用者
* 図書館をとりまく時代変化のキーワード
* 現場から見た課題

1.市民アンケート等の分析から見た利用者

市民アンケート等から読み取る利用者像や要求は、次のようになります。

(1)求められるサービスの多様性
① 読書や調べもののために図書館を訪れる人たち
② おはなし会やテーマ展示のような行事のために来館する人たち
③ 図書館の運営に関わることを希望する人たち

(2)利用者の図書館利用事情
① 限られた時間内で利用する人たち
② 図書館に長く滞在し、ゆっくりと利用できる人たち
③ 図書館を利用しない人たち、利用が困難な人たち

(3)利用者が求める資料・情報の質の違い
① より専門的な情報
② より広範で実用的な知識や情報
③ わかりやすく、利用のしやすい資料

(4)利用頻度の違い
① 市民の約10%は、平日を含めてよく図書館を利用する
② 市民の約30%は、週末を中心に月1回程度のペースで図書館を利用する
③ 市民の約60%は、たまに図書館を利用するか、ほとんど利用しない

(5)図書館に求める新たなニーズ
① 図書館に出向かなくても受けられるサービス
② 資料や情報を入手する手間や時間を、より簡便にするサービス
③ 利用者のニーズに、より即した配架やコレクション形成
④ うるおいと、憩いのある空間づくり
⑤ 各種公共施設・商業施設等との複合化による利便性

2.図書館を取り巻く時代変化のキーワード

新しい市民ニーズや図書館の役割を生む可能性を持つ、図書館を取り巻く時代変化のキーワードをまとめました。

(1)地域社会の中の図書館
① 市民の居場所でありコミュニティの核となる
② 市民の知恵や経験を次世代に伝える
③ 市民の自助・共助の取り組みを支援する

(2)個を育む図書館
① 知的欲求や余暇の充実に応える
② 市民の生きる力を育む

(3)公共サービスとしての図書館
① 公共サービスとしての透明性と説明責任を果たす
② 市民ニーズに応え、市民を支援する
③ 市民参画と協働の機会を提供する

(4)情報化社会における図書館
① 情報格差の緩和を支援する
② 市民の情報活用能力向上を支援する

3.現場から見た課題

図書館の職員から見た課題は次の通りです。

(1)図書館の諸施設や図書館システムに関わる課題
① 施設配置のあり方
② 中央図書館・高幡図書館の老朽化問題
③ 駐車場の確保
④ その他、分館個別の諸問題

(2)機能・サービス面での課題
① うるおいと、憩いがあり、気軽に本に親しめる場
② 高齢者がくつろげる場
③ 子どもと保護者が本に出会える場
④ 図書館と地域活動との連携
⑤ 移動図書館のあり方
⑥ 書庫の確保
⑦ 公文書館機能の実現

(3)図書館運営に関わる課題
① 利用率の向上
② 明確なサービス対象の設定
③ 地域の情報拠点化
④ 資料費の確保
⑤ 図書館活動PRの充実

4.今、日野市立図書館の置かれた状況

図書館施設の老朽化及び狭隘化、財源確保や職員の増員が困難、という状況にあります。
それでも、現在の市民のニーズの分析をし、将来の市民生活に役立つサービスの準備にかかる必要があります。
日野市立図書館がこれからも市民の図書館であり続けるため、市民と共に歩む図書館づくりが求められています。

第2章 基本理念・方針

1.基本理念

『くらしの中に図書館を -市民に役立ち、共に歩む図書館-』

2.日野市立図書館の任務

未来に向けて、日野市立図書館は次の任務を果たします。

すべての市民にサービスを提供します
市民の地域活動、生活、仕事などに必要な資料・情報を収集し提供します
市民の余暇活動を支援します
市民の調査・研究の援助を行います
日野市の地域資料・行政資料を収集・保存・提供し、日野市の歴史を未来に伝えます

3.基本方針

(1)資料の選択・収集及び資料提供を核とする図書館の基本を大切にします

① 市民の現在及び将来の利用に応える資料を収集し提供します
② 市民のリクエストに応えます
③ 図書館利用の障害を取り除く努力を継続します
④ 情報格差の解消に努めます

(2)図書館サービスの利用機会拡大に取り組みます

① 来館機会の限られる利用者がサービスを受けやすいよう、貸出・返却の機会を増やします
② 図書館を利用されない市民に対する情報提供を充実します
③ 新たな利用者との出会いを求めて移動図書館ひまわり号が活動します

(3)新しい要求に応えます

① 他の公共図書館、大学図書館、関係機関等と連携し、市民の高度な要望に応えるよう努めます
② 行政活動、地域活動や企業活動への支援を充実します
③ 悩みや解決するべき課題をお持ちの方や、社会に出る準備をしている人たちを応援します
④ 世の中の動きを読みとり、市民に必要と思われるサービスを取り入れていきます
⑤ 市民の情報リテラシー(情報活用能力)を向上させる取り組みを行います
⑥ 子ども達や高齢者の居場所としての役割を果たします
⑦ うるおいと、憩いのある空間・施設環境を整備します
⑧ 日野市、多摩地域など、地域の情報を積極的に収集・提供します
⑨ ワンストップサービスを充実し、図書館利用の利便性を高めます

(4)図書館サービスを支える図書館ネットワークを再構築します

① 新中央図書館の建設構想を進め、既存の図書館の改修を行います
② 公民館や交流センターなど他の公共施設と連携して、図書館サービス態勢を充実します
③ 図書・資料の収蔵及び公文書保管体制を整えます
④ 各館が立地する地域の特性をいかして、特徴のある図書館サービスの展開を進めます
⑤ 多摩地域の自治体や東京都との協力を含めて、資料保存の体制づくりに取り組みます

(5)市民と共に歩む図書館運営を進めます

① 市民に身近な図書館であり続けます
② 市民が図書館運営に関わる機会を積極的に増やします
③ 団塊世代やシルバー世代に本の貸出等の図書館サービスに関わってもらいます
④ 市民からよく見える図書館運営の仕組みづくりを進めます

第3章 重点的な取り組み 

1.新たなサービス展開の拠点として新中央図書館の建設構想を進めます (37頁)
① 図書館網の中核施設としての機能を備えた新中央館の建設構想を進めます
② すべての世代が集える、うるおいと憩いのある空間づくりと滞在性を確保します
③ 日野市立図書館の、資料の利用・調査・研究などの図書館サービスの要とします
④ 図書館運営、図書館に関わる市民の活動拠点とします

2.時代に合わせて既存施設の改修を進めます (24・36・38・39頁)
① 各図書館施設の改修を進めます
* 平山図書館・現中央図書館・高幡図書館のリニューアルを進めます
* 日野図書館の公民館との複合化を図ります。現日野図書館は新日野図書館の分室とします
* 万願寺図書館を建設します
② 図書資料の収蔵、公文書保管のための設備を整えます
③ 学習スペース・カフェテリアなどを設け、うるおいと憩いのある空間・施設環境を整備します

3.移動図書館ひまわり号の活用を図ります (39頁)
① 移動図書館車の車両を更新します
② 高齢者や子育て施設へ出向いての貸出などに活用します

4.図書館サービス網の拡大・整備に取り組みます (12・13・32・33頁)
① 交流センター・その他の公共的施設や場を利用した、資料受取所や「まちかどミニ図書館」の設置を図ります
② 郷土資料館、環境情報センター等との連携を図ります
③ 学校図書館とのネットワーク化と、学校図書館の地域開放を検討します

5.すべての利用者への基本的なサービスの一層の充実を図ります (15~19・25~29頁)
① 子ども読書活動推進計画により、児童・青少年サービスの充実に努めます
② 団塊世代やシルバー世代が運営に関わる「まちかどミニ図書館」の設置など、高齢者等への
身近で憩いのあるサービスの充実に努めます
③ 図書館利用に障害のある人たちへのサービスを継続します
④ 社会に出る準備をする人たちへの青少年サービスを充実します
⑤ 市民の情報リテラシー(情報活用能力)を向上させる取り組みを行います

6.潜在的な利用者のニーズを満たすサービスの充実に努めます
(12~14・20~24・28・29・34・35頁)
① 図書館利用が困難な市民に対して、図書館に来館しないで資料の貸出などがうけられるサービスの拡大を図ります
* 拠点館等における利用しやすい開館日時の設定
* 身近で図書館サービスを受けられるような取り組み
② ホームページの充実を図るとともに、図書館への来館が困難な市民に対して図書館情報を発信します
③ 他の図書館・機関との連携により、専門的な情報や具体的な課題解決を必要とする市民に対するサービスの充実を図ります
④ 電子化資料、CD・DVD等視聴覚資料、外国語資料等や、課題・問題解決のための図書館資料・サービスの充実を図ります

7.市政図書室による行政情報提供の充実に努めます (29~31頁)
① 行政資料の納本システムの構築
② 市政図書室の充実、公文書館機能の確立
③ 市政図書室による行政資料提供サービスの周知

8.関係機関との連携・協力の強化を図ります (32~35頁)
① 市内の商工会・商店会・自治会・企業・事業所との連携
② 多摩地域等公共図書館との相互協力・資料保存・広域利用等の連携強化
③ 市内等大学図書館・関係機関との連携

9.課題の発見・解決に取り組み、市民と共に歩む図書館運営組織づくり (40~42頁)
① 市民に透明性のある、図書館運営の仕組みづくりと活動を行います
② 「図書館友の会」等市民の活動・組織づくりを支援します
③ 図書館を団塊・シルバー世代の活躍の場にします
④ 市民を交えた図書館評価システムを導入します
⑤ 職員及び図書館組織の能力を向上させるよう取り組みます

第4章 部門別計画

1)サービス計画

1.基本方針

日野市立図書館は、すべての市民が、貸出・リクエスト・レファレンスなどの図書館サービスを受けられる態勢を整えます。そのために、必要とする資料を収集し、確実に提供していきます。特に、日野市についての資料を収集、提供し、後世に向け保存することは、地域の図書館の責務です。
退職したばかりの元気な団塊世代、行動範囲が狭くなりがちな高齢者、学齢期の子ども達と共働きの世帯、社会に出る準備をする人たち、日々の仕事で課題を抱える人たちなど、市民の置かれた状況によって様々な図書館への要求があると考えられます。このような多様な要求に対して、幅と深みのある資料構成を目指すことが重要になっています。
この中には、CD・DVD等の視聴覚資料の充実や視聴する場所の提供、国外発行資料を収集・提供する多文化サービスなどの展開も含みます。

2.市内全域へのサービス

① 中央図書館・分館・移動図書館、図書館との連携施設、宅配により、どこに住んでいてもサービスが受けられるようにします。
② 図書館前にバス停を設けるなど、公共交通機関等との連携を行います。
③ 地域の特性や施設の特徴、複合他施設との連携を活かした図書館サービスを展開します。
④ 資料受取所や「まちかどミニ図書館」の設置を図ります。
⑤ 学校図書館の地域開放を検討します。

市内のどこに住んでいても、図書館サービスが受けられるよう、中央図書館、分館と移動図書館によりサービスを行います。さらに、郷土資料館や公民館などとの連携や学校図書館の地域開放の支援により、図書館の利用機会を広げます。心身の障害により、来館の困難な人に、宅配を行います。
「図書館への交通が不便」が、図書館を利用しない理由の3位となっています(【市民アンケート】34.8% 問10)。平山図書館、百草図書館は、京王線の駅に隣接していますが、さらに、図書館前にバス停を設けるよう働きかけ、公共交通機関等と連携し、利用しやすさを追求します。
各図書館が、地域の特性や施設の特徴を活かしたり、複合の他施設などと連携したサービスを展開します。
日野図書館では、地域の住民や商店会と連携して、日野宿の「お宝」発掘、過去の聞き取り、写真の収集、子どもたちとのまち発見を行い、写真展など成果をあげています。
交流センターやその他の公共的施設や場を利用した資料受取所や、移動困難な高齢者や乳幼児やその保護者に配慮した、身近な「まちかどミニ図書館」の設置を図ります。
学校図書館の地域開放を検討します。学校の休業日時に、生徒・学童の安全性を確保し、利用し易いよう施設の改善を図ります。当面、学校など関係機関と調整を進め、1~2校で実験的に取り組み、検証を図ります。

□グラフ 図書館を利用しない理由 (市民アンケート問10)

本や雑誌は自分で買うから(58.0%)
図書館を利用する時間がないから(37.7%)
図書館までの交通が不便だから(34.8%)
本を返すのが面倒くさいから(26.1%)
本や雑誌はあまり読まないから(24.6%)
図書館の開館日・開館時間が自分の都合に合わないから(18.8%)
利用したい本や雑誌が図書館にはないから(7.2%)
学校・職場の図書館(室)を利用するから(5.8%)
図書館があることを知らなかったから(2.9%)
図書館の本は汚れているから(2.9%)
学校・職場の近くの公立図書館を利用するから(1.4%)
その他(8.7%)
無回答(1.4%)

※グラフ省略

3. 図書館利用の機会の提供

① 中央図書館の通年開館を実施します。
② 平山図書館の夜間開館を実施します。
③ リクエスト図書の受取・返却のできる場を設置します。
④ 資料受取所や「まちかどミニ図書館」の設置を図ります(再掲)
⑤ 学校図書館の地域開放を検討します。(再掲)
⑥ 開館日時の見直しと、図書館サービスを受けられる場を拡大します。

平山図書館は、改築後には、夜間7時まで開館します。これで、主要な図書館はすべて、夜間7時、祝日開館が実現します。また、駅・駅前、公共施設等と連携して、リクエスト図書の受取・返却のできる場を設け、利便性の向上を目指します。市民は図書館施設への希望の4位に「図書館以外に資料の返せる場所」を挙げています(【市民アンケート】問13)。

4.課題解決を援助するサービス

①レファレンスサービスを充実します。
②図書館を使いこなす力(=図書館力)の普及に努めます。
③企業と連携し、[しごと情報コーナー]を設置します。
④市民に役立つ資料・情報コーナーの設置を行います。

レファレンスサービスを充実し、市民がより適切な情報を入手することを援助します。(→第4章‐6‐(2)レファレンスサービス)
市民が図書館の機能を使いこなすことができるよう、図書館員が直接手ほどきする機会を設けます。例えば、〈本はこう探す!‐利用者用蔵書検索端末(OPAC:オパック)の使い方講習〉、〈情報はこう探す!‐インターネット検索の工夫についての講習〉、〈市政図書室には何がある?‐市政図書室の活用講座〉などを行います。
児童向けには、市内小学校の3年生を対象に、図書館員が学校を訪問し、図書館の利用案内を行っています。自分で調べる力・判断できる力・「生きる力」を身につけることを目標に、青少年を対象にした取り組みも始めます。
また、〈絵本読み聞かせ講座〉のように、図書館員の知識・技術も提供できるような講座開催の拡充も検討します。
近年、仕事をめぐる状況が大きく変化しています。人間にとって、仕事は大きな意味を持っています。生きていく糧を得るものであり、やりがい・達成感・社会への貢献などを通じて自分を支えるものです。図書館は、情報提供によって、仕事をめぐる市民の課題解決を援助します。[しごと情報コーナー]を設置し、求職・求人・起業・能力向上・労働問題などの情報提供や相談窓口の案内を行います。
また、日野市役所の活動や市内企業の紹介、仕事に役立つ資料の紹介なども行います。ホームページでも、このコーナーとリンクした情報を提供します。
引き続き社会状況を見据え、今、必要とされている情報は何かを的確に読み取り、コーナーの設置や内容変更・資料リスト作成などの情報発信を行います。

5.すべての市民へのサービス

(1)乳幼児へのサービス

※『子ども読書活動推進計画(平成18年2月)』に基づき、サービス、資料を充実させていきます。
① 乳幼児が本を手に取ったり、読んだりしやすいよう工夫します。
② 乳幼児が集まる場所へ、図書館員が出張おはなし会に出向きます。
③ 保育園・幼稚園への団体貸出を拡充します。
④ 保護者・育児関係者への読書に関わる相談やおはなし会講座等を充実させます。

乳幼児とは、小学校入学前の0歳~6歳の子どもをさします。自分で字を読むことが難しく、本のページをめくることが上手にできなかったり、複雑な物語を理解しきれなかったりします。しかし、興味を広げ、より心豊かな成長を助けるものとして、本に親しむことを身につける大切な時期です。
この年代は、目線や手の届く位置が低く、じっと椅子に座るのを窮屈に感じます。靴を脱いで座れるスペースを設けるなど、乳幼児が本を手に取ったり、読んだりしやすいよう工夫します。
健康課主催のブックスタート事業では、3・4ヶ月健康診査時に、親子で楽しむ時間を持つきっかけづくりに本を贈っています。この事業に連携し、図書館員が図書館の利用案内や本の紹介に出向きます。また、「静かにしていられないから、もう少し大きくなってから図書館を利用しようと思う」という健康課のアンケートに寄せられた意見を受け、乳幼児が集まる場所に図書館員が出向いておはなし会を開催するなど、周囲に気兼ねなく本に親しめる機会を拡充します。
保育園や幼稚園への、団体貸出の巡回回数を増やします。
保護者・育児関係者への読書に関わる相談やおはなし会講座等を充実させます。

(2)児童へのサービス

※『子ども読書活動推進計画(平成18年2月)』に基づき、サービス、資料を充実させていきます。
① 児童の調べものに必要な資料を整えます、とくに、地域について調べる資料を図書館が作成します。
② 児童への読み聞かせなど、子どもの読書にかかわる活動を引き続き支援します。
③ 日本語を母語としない児童、海外からの帰国児童に外国語資料を提供します。
④ 児童が集まる場所へ、図書館員が出張おはなし会に出向きます。
⑤ 学校図書館との連携を強めます。
⑥ 「ジュニア・スタッフ」の内容を充実させます。

児童とは、小学生~中学生(6歳~15歳)の子どもをさします。自分で本が読めるようになり、それぞれの興味に合った読書を広げます。資料やインターネットを使い、自ら調べ判断する力の基礎を身につける時期です。
児童の調べものに必要な資料を充実させます。出版点数の少ない、地域について調べる資料については、図書館が資料の作成に取り組みます。
児童むけのホームページ、「絵本のリスト」作成や、〈絵本の読み聞かせ講座〉開催など、子どもの読書に関わる活動を支援します。
日本語を母語としない子どもや、海外からの帰国児童に必要とされる外国語資料の提供を行います。
児童がそれぞれの成長に応じて、本に対する関心と興味を持ち続けることができるよう、図書館員が出向いて、おはなし会やブックトーク(本の紹介)などを継続して行います。
児童館・学童クラブへの、団体貸出の巡回回数を増やします。
児童の最も身近にある図書館として、学校図書館があります。学校図書館を支援するための学校搬送便を増発します。さらに市内各学校図書館の市立図書館とのネットワーク化を進め、様々な機会に学校との連携を強めます。
夏休みを利用して、中学生を対象に「ジュニア・スタッフ」を募集しています。図書館の仕事を体験することで、図書館利用への理解を深めることを目的とするものです。より充実した体験内容を用意します。

(3)青少年へのサービス

※『子ども読書活動推進計画(平成18年2月)』に基づき、サービス、資料を充実させていきます。
① 青少年を対象としたコーナーを設け、資料を充実させます。
② 青少年がコーナーの運営に関わる機会を設けます。
③ 資料・情報提供により、青少年の就業を支援します。

青少年とは、通常、高校生~20代前半の人々をさします。また、一般的に図書館における「ヤングアダルトサービス」は、主に中学生・高校生を対象に行われています。この計画では対象を広げ、「中学生くらいから30歳くらいまでの、社会に出るための準備をしている人々」をさすことにしました。個人差が大きく、個々の生き方を探りつつ自立していくための、人生にとって最も不安定な時期です。これまで、図書館の利用から最も遠ざかる年代でした。図書館は、この時期を自分の足で踏みしめ、乗り越えて行けるよう手助けすることを図ります。
青少年を対象としたコーナーを設け、この年代が関心を持ち、必要とする資料を充実させます。学校教育では習う機会が少ないが、社会の中で生きるために知っておくと良い情報などもあわせて充実させます。
コーナーを設けるにあたり、該当する年代の人々に、参加を呼びかけます。コーナーの設置・運営などを通じて、他者とふれあい、学びあい、達成感を得て、次のステップへ踏み出すことができるような機会を作ります。
また、就業に関わる情報・資料の提供を行います。たくさんの選択肢を提示することで、より自分を活かせる道を選べるよう、援助します。

(4) 成人へのサービス

① 仕事や育児や介護により、図書館利用の時間が持てない人々へのサービスを図ります。
② 子ども連れで来館しても、利用しやすい環境を整備します。
③ 生活や仕事など、様々な課題の解決を援助できる図書館を目指します。

仕事が忙しい、育児や介護に携わっているなど、時間的に図書館の利用が難しい人々がいます。図書館を利用しない人の理由の第2位が、「図書館を利用する時間がない」でした(37.7% 【市民アンケート】問10 複数回答可)。利用機会を拡充するため、夜間、祝日開館の実施に続き、中央図書館は、月曜日も開館(年末年始、施設点検休館を除く)します。
来館することが困難な人々へのサービスとして、ホームページから予約の申込を受け付け、図書館以外にリクエスト資料の受取場所や資料の返却場所を設けます。
また、図書館は子どもと一緒に利用できる施設です。「家族そろって図書館へどうぞ」、という呼びかけを行います。子どもに気兼ねなく、親が本をさがせるよう、保育ボランティアの配置も検討します
生活や仕事など様々な課題の解決を援助できるよう、資料、読書案内、レファレンスを拡充します。
団塊世代の退職を迎えますが、それぞれの退職後の目標を実現する手助けができるよう、図書館も応援していきます。

(5) 高齢者へのサービス

① 身近で憩いのある「まちかどミニ図書館」の設置など、居場所としての快適性を高めます。
② 高齢者の利用に適した図書館資料を増やします。
③ 来館の困難な高齢者には、資料の配達を行います。
④ 高齢者の集まる施設との連携を進めます。
⑤ ボランティアなど、図書館運営に関れる仕組みを作ります。
⑥ 高齢者の知恵や経験を他の図書館利用者に伝える機会づくりを検討します。

高齢者といっても、幅広い特性があり、それぞれに応じたサービスを行います。
比較的時間に余裕があることから、図書館に長時間滞在されます。照明の明度を上げるなどのバリアフリー化、席数の増加、軽い飲食ができる場所を設けるなど、滞在性を高めます。
年齢を重ねても、読書の楽しみが続けられるよう大活字本等、より活字の大きな資料を増やします。健康や老後の不安には、医療・健康・介護等の資料を充実させ、高齢者や関係者に資料・情報の提供をすることで援助します。
健康のためにも、図書館に出向いての利用を薦めるため、公共交通機関等との連携を行います。移動図書館や高齢者の方が集まる施設など、身近に図書館利用に関わる環境を整備します。外出が困難な方へは、自宅に資料を配達します。
社会参加の意欲をお持ちの方には、市民ボランティアなど、図書館の運営に関われる仕組みを作ります。

(6)図書館の利用に障害のある人々へのサービス

① 新しい技術・機器等を取り入れ、容易で効率的に資料・情報を利用できるようにします。
② 改修などの機会に、既存施設・設備のバリアフリー化を実現します。
③ 点字講習やパソコン講習をさらに充実します。
④ 市政情報の点字版・録音版化を進めます。
⑤ 病院への図書館サービスを進めます。

図書館利用の障害には、おおまかにいって「図書館に来られない」「活字資料を読むのが難しい」「聴覚障害者など、職員とのコミュニケーションが難しい」等があります。こうした障害を取り除くため、施設・設備の改修、情報提供の充実をはかります。
中央図書館、高幡図書館は、改修などの機会に、利用者用エレベータ設置など、バリアフリー化を実現します。
テープ録音に代わる、DAISY図書(デジタル録音図書)やパソコンの活用など、新しい技術・機器等を取り入れ、より、容易で効率的に資料・情報を利用できるようにします。
点字・大活字本の提供を行い、特に市政情報の点字版・録音版化を効率的に進め、市政情報が利用できる環境を確保します。そのために、全庁的な提供態勢の確立を図ります。
病院の入院患者へのリクエスト資料の配本や、団体貸出により通院・入院患者が資料を利用できるよう、図書館サービスを進めます。
障害のある人々に対して、点字講習やパソコン講習をさらに充実させるなど、自ら資料・情報を利用できるよう援助します。

(7)多文化サービス

① 日本語を母語としない方の図書館利用に配慮します。
② 子ども向け以外にも外国語資料の収集を進めます。
③ 外国人を対象にしたサービスを行う他機関と連携します。

日野市には、2,374人の外国人登録者がいます(平成19(2007年)年1月1日現在)。全人口171,695人に対して1.38%にあたります。そのほか、通勤・通学などで、日野市に関わる外国人もいます。
日本語を母語とせず、日本語を読むことが困難な方も、図書館を利用できるよう、例えば、図書館の利用案内や館内表示を多言語で作成していきます。
これまでは、原則として日本語で書かれた資料を収集対象とし、外国語資料は絵本などの限られたものしかありませんでした。『日野市子ども読書活動推進計画』では、児童へのサービスとして、「日本語を母語としない児童のための外国語資料の充実」をあげています。これは、日本人の児童が外国の文化を学ぶことにもつながります。【市民アンケート】問12では、「外国語資料の充実」を求める方が、12.6%(複数回答)でした。このアンケート自体が日本語で書かれたものであることから、日本人あるいは日本語が母語である方の中にも「外国語資料」を求める声があると判断されます。これらを含め、日野市立図書
の外国語資料収集の方針を作成し、資料の収集を進めます。
多文化サービスを外国人のためだけのサービスとせずに、市民が広く外国の文化を学び、受け入れる入口となるように組み立てます。
外国人を対象にしたサービスを行う他機関及び市民の国際交流を進める諸団体と連携し、図書館が情報提供の窓口となることを目指します。

6.これらのサービスを支える、多様な資料の充実

図書館サービスへの要望で、市民から、第一にあげられるのは、資料に関するものです。
【市民アンケート】【来館者アンケート】のいずれでも、資料の充実が強く求められています。蔵書点数の
拡充には収蔵スペースの拡大が、受け入れ冊数の増加には図書費の確保が必要となるため、これらの充実を図ります。
図書館へ希望するサービスの1位は「充実した資料」です(【市民アンケート】問14)。不満度(不満とやや不満の計)の1位は「本や雑誌の量」(28.6%)、2位は「資料の品揃え」(18.9%)でした(【来館者アンケート】問14 満足度)。一方、満足(満足とやや満足の計 以下同)との回答は、全12項目中「本や雑誌の量」で8位、「資料の品揃え」は9位でした。
サービスの重要度の1位は、「本や雑誌の量」です。「資料の品揃え」も、6位で32.5%をしめています(【来館者アンケート】問14 重要度)。
現中央図書館が開館した頃と比べ、図書出版点数は3倍以上、雑誌の種類も2倍に増加しています(昭和48年(1973年)図書出版タイトル20,138点 雑誌の種類 1,935種が平成17年(2005年) 図書出版タイトル76,528点 雑誌の種類 3,642種)。

□サービスに求めるもの(市民アンケート問14)

充実した資料(53.5%)
開館時間の延長(38.9%)
他の図書館とのネットワークの拡大(32.9%)
医療情報サービス(医療・病院情報の提供など)(29.3%)
高齢者への充実したサービス(27.9%)
専門知識を持った職員による的確な資料案内・レファレンス(24.2%)
図書館利用に障害のある方への充実したサービス(19.8%)
図書館からの積極的な広報活動(15.2%)
ビジネス支援サービス(ビジネスに役立つ資料の提供など)(14.6%)
移動図書館車による出張図書館(14.4%)
講演会・展示会などの開催(13.6%)
乳幼児・児童への充実したサービス(13.4%)
多文化サービス(在日外国人へのサービス・外国語資料の提供など)(12.6%)
資料の探し方・検索用端末の使い方などの講座開催(9.2%)
市民の読書活動を推進するための働きかけ(8.0%)
その他(6.6%)
ヤングアダルト(中学生・高校生くらい)への充実したサービス(6.4%)
無回答(8.6%)

※グラフ省略

□サービスの重要度(来館者アンケート(一般)問14)

※グラフ省略

(1)図書・雑誌

① 図書・雑誌は、市民の地域活動・生活・仕事の必要や、余暇の充実に役立つ資料を収集します。
② 各分野の実務者向け専門書や大学生向け教養書・専門書の収集に努めます。
③ 各分野の基本的資料が開架スペースで直接手にとれるようにします。

【市民アンケート】では、資料の充実希望の上位5位は、「新しい本・雑誌の充実」「品切れ・絶版になっているような古い本」「その分野の実務者や大学生が読むような本」「料理本のような実用書」「辞典・辞書など調べるための本」となっています(問12)。
こうした希望を考慮しながら、市民の地域活動・生活・仕事の必要や、余暇の充実に役立つ図書・雑誌を収集します。
新中央図書館の整備を進め、各分野の基本的資料を、市民が直接手にとって見られるよう、開架スペースを確保します。

□図書館の資料がどうあればよいか(市民アンケート問12)

新しい本・雑誌の充実(66.5%)
品切れ・絶版になっているような古い本・雑誌の充実(39.3%)
専門書(その分野の実務者、大学生が読むような本)の充実(37.3%)
実用書(料理本や手芸の本など)の充実(37.1%)
辞典・事典・地図・年表・便覧などの調べるための図書の充実(33.7%)
視聴覚資料(CD・ビデオなど)の充実(23.6%)
日野市の郷土資料・行政資料の充実(20.4%)
各種オンラインデータベースの充実(17.4%)
児童書の充実(17.2%)
利用者用インターネット閲覧端末の充実(15.0%)
CD-ROMなどの電子資料の充実(13.2%)
外国語資料の充実(12.6%)
大活字本・点字・朗読テープなどの充実(11.0%)
マンガ資料の充実(9.0%)
ヤングアダルト(中学生・高校生くらい)向け資料の充実(5.2%)
その他(4.0%)
無回答(8.0%)

※グラフ省略

(2)視聴覚資料(CD・DVD等)

① 視聴覚資料は、各分野の基本的資料、地域活動での利用を考慮して収集します。

音楽では、ネット配信が普及しはじめています。その動向を把握しながら、CD・DVD等視聴覚資料は、当面、各分野の基本的資料や各種行事や地域活動での利用を考慮して収集します。「視聴覚資料の充実」は資料の充実希望の6位となっています(【市民アンケート】問12)。

(3)電子資料

① インターネット閲覧端末や公衆無線LANの設置を積極的にPRします。
② 商用データベースの導入を拡充します。

図書館は資料提供を任務としていますが、現在、資料とは本のような印刷されたものだけではありません。
CD-ROMやDVD・インターネット情報・商用データベースなどの電子資料が増えています。
それらも市民が利用できるよう、インターネット閲覧端末や公衆無線LANの設置を行っています。
利用者用インターネット閲覧端末は、下表のように、積極的に利用されています。
一方、「無線LANによる、利用者持込パソコンでのインターネット接続」の認知度は高くありません(3.2%【市民アンケート】問11)。今後、積極的にPRを行います。
新聞記事・判例・論文情報などの商用データベースは、保管場所を取らず、必要な資料を素早く検索できます。また、インターネットに流れる情報よりも、信頼性があります。利用者用閲覧端末の設置や、著作権に沿ったプリントアウトの実施など、サービスを拡充していきます。

表 各館におけるインターネット閲覧端末の台数 (H18年度)

館名 台数 利用状況(件)
中央 6台 2,809件
高幡 4台 4,990件
日野 2台 1,900件
多摩平 6台 4,944件
平山 1台 875件
市政 2台 352件
百草 2台 1,371件

表 各館における公衆無線LANの設置状況

公衆回線の種類 設置館
「HOT SPOT」:NTTコミュニケーションズ 中央・高幡・多摩平
「moperaU」「Mzone」:NTT DoCoMo 日野・百草
「FLET'S SPOT」:NTT東日本 中央・高幡・日野・多摩平・百草
□ 各館におけるインターネット閲覧端末の台数 (H18年度)

(4)資料保存

① 日野市に関わる資料は責任を持って収集し、永久保存します。
② 次の世代に伝えるべき基本的資料を、日野市立図書館の保存対象とします。
③ 書庫を、新中央図書館や統合後の学校施設・学校の空き教室の活用により確保します。
④ 都立図書館・多摩地域公共図書館など都内の図書館と、分担保存や共同保存庫構想の推進等、資料保存の連携を積極的に進めます。

日野市の資料は、日野市立図書館が責任を持って複部数収集し、永久保存します。その他の資料は、親の世代の記憶を伝える資料、次の世代に伝えていくべき資料を、利用できるように保存します。
現在、比較的新しい資料であっても、書架に入りきらないため、早々に書庫に入れざるを得なくなって
います。その書庫も収容能力を超過し、都立図書館や多摩地域の図書館で所蔵している資料は、やむなくリサイクル資料として市民や関係施設に提供しています。
世代から世代へ、市民が必要とする資料を保存するのに十分な書庫を、新中央図書館や統合後の学校施設・学校の空き教室の活用により確保します。
資料保存については、都立図書館・多摩地域公共図書館を中心とした都内の図書館と、分担保存や共同保存庫構想の推進等、資料保存の連携を積極的に進めます。

7.資料・情報の提供サービスの充実

(1)貸出

① 利用者への読書案内を積極的に進めます。そのために、各カウンターに「相談窓口」等と案内を明示します。
② 多くの方の資料の利用機会が向上するよう図ります。

図書館の資料を利用するための、もっとも簡便で効果的な方法が貸出です。
貸出は、単に貸出手続きだけではなく、利用者の相談に応じる読書案内が不可欠です。相談に応じて、適切な資料の提供を行うため、カウンターに「相談窓口」等と明示し、読書案内を積極的に行います。これを通じて、サービスや資料構成の問題点を把握し、改善に努めます。
【来館者アンケート】で、貸出条件について調査しました。現在の貸出条件は、図書・雑誌が2週間の期限内に読める件数、視聴覚資料が2点までです。
「貸出期間の適当な期間について」(問9)は、現状の「2週間」が62.3%、「3週間」が、27%、「1週間」は1%でした。
図書・雑誌の貸出件数については(問10)、現状の「期限内に読める数」が68.9%で「制限すべき」は、16.9%でした。制限すべきとの回答者で、制限件数は、「5件以内」が53.6%、「10件以内」が31.7%、「20件以内」が8.2%でした。視聴覚資料(問11)の「現状の2点」が「適当」は、63.6%、「変えるべき」は、5.5%、うち「4件」が25%、「5件」が25%、「その他」が21.7%でした。
また、返却期限を過ぎた資料がある場合、「貸出停止をすること」(問12)について、「とるべき」57.5%、「とるべきでない」22.9%でした。措置の仕方は、「超過日から」30.8%、「超過日から一定期間後」は28.3%、「無回答」40.9%でした。
利用条件の見直しや、返却場所の拡大などにより、多くの方の資料の利用機会向上やサービスの公平性を確保します。

(2)リクエスト

① インターネット予約の利便性を確保しながら、予約資料の回転率の向上を図ります。
② 都立図書館、多摩地域公共図書館を中心とした公共図書館、国立国会図書館、大学図書館との相互協力により、リクエストに確実に応えます。

リクエストは、市民が必要とする資料を確実に利用できるためのサービスです。図書館サービスの認知度の2位(64.1%)で、広く日野市民に知られています(【市民アンケート】問11)。
 このサービスへの不満としては、「予約資料の用意される期間」が不満度の4位(13.6% 不満とやや不満の計)となっています(【来館者アンケート】問14)。平成14年度にインターネット予約を開始し、予約受付件数は平成13年度(2001年度)の67,286件から 平成18年度(2006年度)311,367件へと、4.6倍に増加しました。現在、インターネット予約は、予約件数の70%、貸出件数の20%を占めています。新刊資料の多くに、予約がかかり順番待ちになります。予約件数によっては、複本を準備しますが、すべてのリクエストに即座に応えられる冊数までは購入できません。
資料の回転率を向上させるため、【来館者アンケート】で、予約資料取置き期間と予約受付件数について調査しました。
予約資料取置き期間(問7)は、「現行2週間」が60.6%、「1週間」が8.9%、「3週間」が6.2%、「無回答」が21.1%でした。予約受付件数(問8)については、「現行無制限」が「適当」58.3%、「制限すべき」15.4%、「無回答」26.3%でした。制限すべきとの回答者の制限数は「10冊以内」が74.3%でした。
インターネット予約の利便性を確保しながら、回転率を向上させる方策がないか検討します。
図書・資料の購入、都立図書館への協力貸出依頼、多摩地域公共図書館を中心とした公共図書館、国立国会図書館、大学図書館等との相互協力のいずれかの方法により、リクエストに確実に応えます。

□貸出件数

※グラフ省略

□予約件数

※グラフ省略

□都・多摩地区・区部・他の貸借先一覧

(貸出先)

※表省略

(借受先)

※表省略

(3) レファレンスサービス

① レファレンスサービスの認知度を高めます。
② 「調べ方案内」などの作成を通じ、市民自らの調査・研究を援助します。
③ 図書館ホームページからレファレンスを受け付けます。
④ 多様な資料を使いこなし、適切なレファレンスが行える図書館員を育成します。

レファレンスサービスとは、情報・資料の提供を通じて、市民の調査・研究の援助をするものです。貸出サービスと並ぶ図書館の主要サービスですが、市民の認知度は低く、「レファレンスサービスを知っている」は25.9%でした(【市民アンケート】問11)。図書館報『ひろば』やホームページなどで積極的にPRを行い、認知度を高めます。
図書館員に声をかけなくても、市民自らが調べものに必要な情報・資料にたどりつけるよう、「調べ方案内(パスファインダー)」や「よくある質問事例集」などを作成し、ホームページにも公開します。
現在、インターネットからのレファレンスは、セキュリティを確保するため、東京電子自治体共同運営サービスによる電子申請システムから受け付けています。システム更新を機会に、図書館ホームページからレファレンスが受けられるようにします。
レファレンスサービスを充実させるには、図書館員の能力向上が欠かせません。多様な資料を使いこなし、適切なレファレンスが行える図書館員を育成します。自己研修を基礎に、館内・館外の研修機会を利用し、組織として能力向上に努めます。

(4)図書館ホームページ

①図書館ホームページから、リクエスト、レファレンスを受け付けます。
②図書館が、メールマガジンを発行します。
③図書館ホームページのリンク集、「レファレンス事例集」を拡充します。
④日野市地域などの読書活動関係ホームページへのリンクを設けます。
⑤図書館ホームページの図書館運営に関する情報を充実させます。

図書館ホームページを活用して、図書館の利用案内、行事や「ベストリクエスト」などの情報を発信しています。資料予約、貸出・予約情報照会を利用者自身が行うために必要な、パスワードの申込件数は、平成18年度(2006年度)末で9,539件、利用者の25%となっています。
図書館ホームページに掲載している、図書館運営に関わるデータや記録をさらに充実させます。
リクエスト、レファレンスを、図書館ホームページから受け付けます。
行事や様々なお知らせを、効率的に通知できるよう、メールマガジンを発行します。
「調べ方案内(パスファインダー)」として活用できる、図書館ホームページのリンク集、日野市に関することを中心とした「レファレンス事例集」を拡充します。日野市ポータルサイトの構築に向け、情報システム課・市長公室と連携します。
本の感想のやりとりなど、市民間の交流で読書活動が活発になるよう、日野市地域などの読書活動関係ホームページへのリンクを設けます。

8.地域資料・行政資料の充実

(1)地域資料の収集と情報発信

① 各図書館が地元の特色ある地域資料を揃えます。
② 市民の著作や地域団体の広報紙を積極的に収集します。
③ 地域情報収集のための市民ボランテイア制度をつくります。
④ 新聞・雑誌に掲載された日野市の情報を図書館のホームページなどで検索できるようにします。
⑤ 写真や古文書を電子情報化し、図書館のホームページに掲載します。

地域の図書館の責務として、日野市についての資料を収集、提供し、後世に向け保存します。
【市民アンケート】によれば、日野市の地域資料・行政資料の充実を希望するとの回答が20.4%ありました(問12)。日野市の地域資料は市政図書室を中心に収集し提供していますが、各図書館がそれぞれの地元の歴史や文化財に関する資料を充実させ、身近にあって気軽に相談できる"かかりつけ医"のような存在をめざします。
すでに日野図書館が新選組、甲州道中(街道)や日野宿の資料の収集に取り組み、高幡図書館は高幡不動尊金剛寺に関する資料コーナーを設置しています。多摩平図書館では多摩平団地のあゆみの資料を、平山図書館では平山季重の資料を充実します。市政図書室は日野市全域の地域資料を総合的に収集・提供・保存する"核"として、他館の地域資料の収集とレファレンスをバックアップしていきます。
市民や地域団体に定期的に資料提供を呼びかけるとともに、市民のみなさんに"地域情報の特派員"として協力していただきます。活動の成果は図書館のホームページで提供し、「日野市関係人物情報リスト」の作成にも活用します。
日野市に関する新聞記事の見出しをまとめた「日野人ニュースクリップ」の市役所庁舎内の掲示および、図書館のホームページへの掲載を開始しました。今後も他の施設への掲示や情報発信の場を増やします。さらに、新聞記事等の索引を作成し、ホームページから検索できるようにします。
市内や近隣地域で活動するNPO法人と連携して、地域密着型の情報発信や日野市を広く知ってもらう取り組みを進めます。

(2)市政図書室の行政情報提供機能の充実

① 日野市の総合情報センターを目指します。
② 日野市刊行物の登録・納本制度をつくり、網羅的な収集を行います。
③ 日野市の行政サービスの推進を支援します。
④ 市政図書室の活用講座を開催します。

市役所1階の市政図書室は地域・行政資料の専門図書館として、日野市の資料や情報の総合窓口(ワン
ストップサービス)を目指します。
これまで担当課の窓口でのみ公開していた審議会や委員会の会議録を市政図書室にも揃えて公開します。市の計画や施策が決定する過程で作成された資料(答申、素案、中間報告、住民説明会の配布資料、市民から寄せられた意見集など)も収集し公開します。市の刊行物の集中販売や各種パンフレットも揃え、市民の要求に応えます。
日野市のホームページに、主要な市の資料の全文や市民生活の課題解決に役立つ資料・情報源の紹介を掲載するなど、日野市の資料・情報を入手しやすくします。
日野市役所で刊行する資料はすべて市政図書室に送付され、市民の利用と保存に十分に応えられる冊数を確保できるシステム‐日野市刊行物の登録・納本制度‐をつくります。
市政に参画する市民・議会関係者・職員の情報のアンテナを高め、施策の企画や実施に役立つ資料・情報を提供することで行政サービスの推進を支援します。新聞記事や法律情報・判例などのデータベースを充実し資料提供します。市のプロジェクトチームに参加する市民や職員に対し、活動の参考になる情報(政府の政策の最新情報、他自治体の先進的な取り組みの紹介など)や関連図書を継続してタイムリーに提供します。
官報や判例の調べ方、新聞記事の検索方法の講習会、市政図書室の所蔵資料や職員の持つ情報源を最大限に活用していただくための講座を開催します。

(3)市政図書室に公文書館機能を-日野市の歴史と現在(いま)を未来に伝えます-

① 日野市の行政文書を収集・整理・保存し、市民に公開します。
② 情報公開担当課や郷土資料館などと連携し、行政資料としてまたは歴史的資料として価値のある行政文書
を収集します。
③ 古い行政文書も電子化し、図書館で検索できるようにします。
④ 郷土資料館などと連携し、市内に残る史料の整理・保存を進めます。
⑤ 公文書館としての機能を発揮できる、知識と能力を持つ職員を養成し運営します。

日野市で作成された行政資料は、冊子として刊行される資料の他に「文書」や「電子文書」として保存されているものもあります。これらは保存期間を経過すると廃棄されますが、「行政資料又は歴史的資料として保存する価値があると認められるものについては、当該文書等を廃棄せずに図書館、博物館その他の関係機関に移管することができる。」と「日野市文書管理規則」第65条に規定があります。
市役所の1階に設置されている市政図書室が、開かれた市政運営の情報窓口になり、行政資料や歴史的資料として重要な行政文書を選別・収集し、市民に公開し保存する公文書館としての機能を果たします。図書館と公文書館を一体化し、市民が利用しやすいよう、市政に関する資料・情報を一箇所に集めた新しいタイプの地域・行政資料の専門図書室をつくります。
『日野市史』の編纂で収集した行政文書や史料を保存している郷土資料館と連携し、電子化を進めて図書館で検索できるようにします。また、郷土資料館や文化財の担当課とともに市内に残る貴重な史料を未来に伝える役割も果たします。
公文書館の機能を存分に発揮できるよう、市政の動向や市民の要望を常に把握し、地域・行政資料の収集・活用・保存を担う専門知識と能力を持つ職員を養成して運営します。

9.関係機関との連携

(1)学校・学校図書館との連携(学校図書館支援センター機能)

① 学校への搬送便を週1回以上運行します。
② 学校図書館と日野市立図書館とのネットワークを構築します。
③ 学校・学校図書館関係者へ図書館利用案内を行います。

図書館は、『子ども読書活動推進計画』に基づき、学校図書館支援センターとして機能します。
これまでも、小学校3年生への学校訪問、出張点字授業、施設見学や中学生職場体験の受け入れなどと、連携を進めてきました。さらに、連携を強化するため、平成18年度(2006年度)から、学校への搬送便によって2週間に1回、学校の各クラスが必要とする資料の提供を開始し、次年度には、週1回以上の運行に増やし、より迅速に資料が届くようにします。
図書館新システム導入を機会に、学校図書館と日野市立図書館とのネットワークを構築します。学校図書館間と市立図書館が相互に資料検索ができることで、より豊富な資料を使えるようになるための基盤を整備します。
学校図書館向けホームページの充実や学校・学校図書館関係者への図書館利用案内、調べ学習のための各種協力等を行い、学校・学校図書館関係者と図書館の連携が深まるようにします。

(2)郷土資料館・環境情報センター・新選組のふるさと歴史館等との連携

① 郷土資料館・環境情報センター等の所蔵情報を、共有化するシステム作りを進めます。
② 所蔵資料の総合目録を公開し、市民の問い合わせにも横断的に対応できるよう連携します。
③ 講座や展示を行うために必要な資料・情報を図書館が提供します。
④ 資料の提供にとどまらず、講座や展示のテーマについての資料リストを図書館が作成し、配布するなどPRの面でも連携します。
⑤ 地域資料の編集・刊行に取り組みます。
⑥ 日野市の歴史や自然をわかりやすくまとめた冊子や子ども向け地域資料の作成、『日野郷土かるた』(昭和54年(1979年) 日野市立図書館刊行)の改訂に取り組みます。

郷土資料館や環境情報センターでも、市民に利用していただく目的で図書や雑誌を収集しています。図書館とこれらの機関の所蔵する資料の情報を共有化するシステムをつくり、総合目録を公開します。図書館の利用者に郷土資料館や環境情報センターの資料を紹介したり、市民の問い合わせに連携して、機関全体の資料を使って対応できるようになります。
職員の情報交換の場をつくり、講座や展示を行うために必要な資料・情報を図書館が提供し、講座や展示の開催に合わせて資料リストを作成して配布するなどPRの面でも協力します。
それぞれの機関が持つ資料や情報を活用し、連携して地域資料の編集・刊行を行います。特に市民の要望が多い「わかりやすい日野市の歴史」や「こども向け地域資料」の作成、『日野郷土かるた』(昭和54年(1979年) 日野市立図書館刊行)の改訂に取り組みます。

(3)市内の商工会・商店会・自治会・企業・事業所との連携

① 図書館掲示板を自治会・商店会などの掲示板としても活用します。
② 市内の自治会・商工会・商店会・企業・事業所の関係資料を収集し、広く知らせる場とし、それらに勤務する人たちに、日野市立図書館の利用を促進するPRを行います。

図書館は、多くの市民が繰り返し来館する施設です。地域の自治会や商店会などの活動を図書館の掲示板を活用し、広く知らせる場となることができます。図書館掲示板のスペースの拡大とともに、掲示スペースの確保できる既存施設で実施します。
市内の企業、事業所の関係資料を収集し、企業及び企業活動を市民に広く知らせる場とします。また、市内に勤務する人たちに、日野市立図書館の利用を促進するPRを行います。
中央図書館に、[しごと情報コーナー]を設け、求人情報などに利用してもらいます。
日野図書館では、地域の住民や商店会と連携して、日野宿の「お宝」発掘、過去の聞き取り、写真の収集、子どもたちとのまち発見を行い、写真展など成果をあげています。

(4)多摩地域等公共図書館との相互協力・資料保存・広域利用等の連携強化

① 都立図書館、多摩地域公共図書館を中心とした公共図書館、国立国会図書館、大学図書館との相互協力を進めます。
② 都立図書館、多摩地域公共図書館など都内の図書館と分担保存や共同保存庫構想の推進等、資料保存の連携を積極的に進めます。(再掲)
③ 「京王線沿線七市連携」として、広域利用を進めます。

都立図書館、多摩地域や区立図書館、さらに都外の公共図書館、国立国会図書館、大学図書館と資料の相互協力や、レファレンス、交換研修、資料交換などの協力を進めます。
都立図書館、多摩地域公共図書館など都内の図書館と資料保存の連携を積極的に進めます。
現在、相互利用を多摩市と行っています。さらに、「京王線沿線七市連携」(八王子市、府中市、調布市、町田市、多摩市、稲城市)として、広域利用を進めます。

(5)市内等大学図書館や研究機関等との連携

① 市内等大学図書館との連携を目指します。

市民の多岐にわたる資料要求、知的向上への意欲に応えるため、公共図書館間だけではなく、大学図書館等との連携に取り組みます。【市民アンケート】問12「図書館の資料がどうあればよいと思いますか」に対し、「専門書の充実」は第3位(37.3%)でした。さらに【利用者アンケート】自由記入欄にも、「専門書を増やして欲しい」という要望が多数見られました。すでに市民のリクエスト・レファレンスに応えるため、市内外の大学図書館や専門情報機関等の協力を得る機会が増えています。
日野市内の首都大学東京(日野館)、実践女子大学、実践女子短期大学、明星大学との連携を進めます。
首都大学東京は東京都立の大学として、図書情報センターを都民へ開放しています。都民が直接来館し、資料の貸出を受けることができます(登録料 年間300円)。図書情報センター日野館は、前身が都立科学技術大学であったこともあり、科学技術系の専門書が充実しています。それらの情報を市民に広報していきます。
実践女子大学図書館、実践女子短期大学図書館とは、すでに連携に向けて話し合いを重ね、大学図書館の図書を、日野市立図書館の館内で閲覧できる協定を締結しました。
明星大学図書館へも、連携に向けて積極的に働きかけます。さらに、近隣市の大学図書館と、連携を広げます。
図書館学に関わる大学関係者が、図書館の現場を体験する機会を設けます。
図書館員同士の交流による能力向上、企画の共催など、より連携を深めていきます。

★市内大学図書館の所在地、URL
・首都大学東京(日野館) 日野市旭が丘6-6
URL http://www.tmit.ac.jp/library.htm 
・実践女子大学図書館 日野市大坂上4-1-1
URL http://www.jissen.ac.jp/library/
・実践女子短期大学図書館 日野市神明1-13-1
URL  http://www.jissen.ac.jp/library/jcol/
・明星大学 日野校図書館 日野市程久保2-1-1 
URL http://www.hino.meisei-u.ac.jp/hlibrary/

2)施設計画

1.基本方針

日野市立図書館は現中央館の開館(昭和48年(1973年))以来すでに30年以上が経過し、施設の老朽化と狭隘化のために、図書館サービスへの希望の1位である「資料の充実」や、新たなサービスの展開が困難になっています。市民の施設への要望の1位は「くつろいで閲覧できる場所」、3位は「集中して調べものができる場所」です(【市民アンケート】 問13)。以上の問題を解決するため、新中央図書館の建設構想を進めます。
一方で、日野市には、主要鉄道駅としてJR日野駅、豊田駅、京王線・多摩モノレール高幡不動駅の3つがあります。この3地域の日野図書館、現中央図書館、高幡図書館を拠点館と位置づけ、施設の整備を行います。
拠点館は、鉄道駅や広域幹線道路の近くに配置し周辺の他施設利用と合わせた相乗効果を目指します。
全庁的な耐震診断計画の下に、既存施設の耐震診断・施設改修を進めます。バリアフリー化とともに、閲覧スペースの確保など滞在性を高め、うるおいと憩いのある施設環境を整えます。
平山図書館の複合施設化、万願寺図書館の新設、他地域には長期的に施設配置を進めるとともに、移動図書館、学校図書館の地域開放支援、関係施設とのネットワーク化によるサービスを展開します。

□図書館施設のあり方(市民アンケート問13)

図書館内にゆっくりくつろいで閲覧できる場所があるとよい(13.7%)
駅の近くや商店街など利用しやすい場所にあればよい(12.7%)
図書館内で集中して調べものができる場所があるとよい(10.3%)
図書館以外に、資料が返せる場所があるとよい(10.3%)
少し遠くても、十分な広さの駐車場があるとよい(9.8%)
学習室があるとよい(6.9%)
車椅子でも使いやすい施設がよい(6.0%)
身近にあって、小さいけれど、新聞・週刊誌程度が座って読める図書館(5.8%)
館内に飲食のできる場所または飲食施設があるとよい(5.7%)
館内で持ち込みパソコンの使える場所と電源があるとよい(4.1%)
赤ちゃんのおむつ換えなどもできる広いトイレがあるとよい(3.3%)
子どもに読み聞かせができる場所があるとよい(3.1%)
地域の情報を交換できるような場所があるとよい(2.9%)
集会室・ギャラリーなど、団体で利用できる場所が多いとよい(2.8%)
その他(1.6%)
無回答(1.1%)

※グラフ省略

2.施設別

(1)新中央図書館

① 三つの手法を検討し、新中央図書館建設に向け取り組みます。

新中央図書館は、順次拡充整備を目指す図書館網の中枢となるため、分館・移動図書館、その他関連施設を運営する施設として、必要な次の機能を備えたものとします。

① すべての世代が集える空間として
* 子どもたちに魅力ある資料と空間の確保
* 青少年が安心して資料と設備を利用できる居場所
* 高齢者が体を動かして行きたくなる豊富な資料と居心地のいい場
* CD・DVDなど視聴覚資料とその利用設備の充実、外国語資料の充実
* カフェテリア・学習スペースなどを設け滞在性のある施設
② 調査・研究機能の拠点として
* 調査・研究のために必要な図書・資料の充実
* 各種データベースの利用環境の整備
* 資料利用と情報検索が共にできる設備
③ 図書館システムの中心として
* 市内図書館の組織運営、資料整備
* 市内図書館や関係機関の必要とする資料の保存
* 学校など市内関係機関や市外の図書館などとの協力関係の拠点
④ 図書館に関わる市民の活動の場として
* 図書館友の会のような市民が図書館に関わる活動拠点
* 点訳・音訳活動、おはなし会など、広く図書館と関係する活動との連携拠点

新中央図書館建設を実現させるためには、次の三つの手法があります。

a.新たに独立した新中央図書館建設
b.現中央図書館のリニューアルによる規模拡大
c.豊田駅南口再開発等による複合施設に図書館機能を設け現中央図書館と一体的運営

※この具体化にあたっては、市民参加による建設検討委員会を設けます。

(2)分館

現在、日野市には中央図書館を含め8つの図書館があり、多摩平図書館・平山図書館はリニューアルが進められましたが、他の分館は、早急な施設改善が求められています。

■高幡図書館

① 拠点館として充実させ、それに伴う大規模改修を実施します。

高幡図書館は昭和55年(1980年)に今の建物が建設され、現中央館同様、老朽化と狭隘化という問題を抱えています。モノレールの開通、高幡不動駅改修と、ますます京王線沿線のターミナルとしての性格を強めている地域です。館内に長く滞在する利用者が増え、閲覧スペースを広げてほしいという要望が寄せられています。
そこで、高幡図書館では、大規模改修を実施し、閲覧スペースの拡充や、ブラウジングコーナーの設置、利用者用エレベータを実現します。

■日野図書館

① 現日野図書館を複合施設内へ移し、サービスを拡充します。

日野図書館に近接した中央公民館、福祉センター、児童館の3施設の建て替え複合化が課題となっています。
日野図書館は、この複合施設に入り、サービスの拡充を図ります。とくに、中学校や小学校が近くにあることから青少年サービスを充実させます。
現日野図書館は、新選組や日野宿関連など、多摩地域の歴史資料を専門的に扱う分室とします。この地区には、歴史的な文化遺産や「日野宿本陣」「日野宿交流館」も近接し、現在も、地域の住民や商店会と連携し成果をあげています。

■平山図書館

① 平山図書館を複合施設としてリニューアルします。

平山図書館を複合施設としてリニューアルし、平成20年度(2008年)に開館します。地域にゆかりの、平山季重関係の資料を充実させます。

■万願寺図書館

① 万願寺図書館の開館に向け取り組みを進めます。

平成19年度(2007年度)より実施設計に入ります。児童館との複合施設とし、機能連携を図ります。

■百草台児童図書館

① もぐさだい児童館の図書室として利用機会の向上を図ります。

もぐさだい児童館の1室で、開館日は週3日です。もぐさだい児童館の図書室として、利用機会の向上を図ります。

(3)移動図書館「ひまわり号」

① 移動図書館を多様なサービスに対応できるよう更新します。
② 関係課と連携し、高齢者支援・子育て支援のため、例えば移動健康相談や、移動育児相談などの取り組みを進めます。
③ 病院へ入院されている方や福祉施設を利用されている方へのサービスの充実を図ります。

現在の「ひまわり号」は、平成20年度(2008年度)秋には、排ガス規制のため、運行できなくなります。サービスを継続するため車両の更新を行います。
移動図書館ひまわり号は日野市立図書館のシンボルであり、市民アンケートでも、図書館サービスの認知度で第1位でした。日野市立図書館の活動スタートから、図書館のPRに大きく貢献してきました。また、コストパフォーマンスにもすぐれています。今後も図書館利用の促進を目指して、これまでの運用を見直し、従来から行っている図書館空白地域への巡回や幼稚園・保育園・学童クラブ等への団体貸出のほか、次のようなサービスの実施を検討していきます。
例えば、高齢者を対象にひまわり号に保健師が同行しての血圧測定等簡易な検査・健康相談等や、子育て支援の一つとして、子育て関係部署との連携による移動育児相談の開催、親たちの情報交換の場を提供します。あわせて、参考になる本の展示・貸出も行います。
今まで、不十分だった、病院へ入院されている方や福祉施設を利用されている方へのサービスを進めます。

3)運営計画

1.基本方針

図書館は、組織として課題を発見し、それに取り組む運営を行います。それが担えるよう、職員の能力向上を図ります。運営にあたり、基礎情報を広く市民に提供し、PRも活発に行います。運営への市民参加を進め、運営への評価の仕組みを設けます。

2.図書館の運営体制

(1)組織運営

① 課題を発見し、それに取組む組織運営を行います。
② 職員一人一人の専門分野を構築します。

新たな課題を発見し、それを業務に活かす、組織運営を目指します。
その担い手として、職員が、課題を発見し業務に展開していくことが求められています。
「日野市人材育成基本方針:平成19年(2007年)」を基に、行政職員としての能力向上に努めるとともに、図書館職員として、それぞれが、専門分野を計画的に構築することを進めます。

(2)図書館の運営開示とPR

① 図書館ホームページでの図書館運営に関する情報を充実させます。
② 資料の収集方針・選択基準・除籍基準を明文化し公開します。
③ 移動図書館をイベント会場でPRに活用します。
④ メールマガジンを発行し、PRに活用します。

運営の開示として、図書館のホームページには、図書館運営に関わる情報である規則・要綱・統計などを掲載しています。図書館協議会の議事録や財政情報なども掲載し、さらに情報を充実させます。また、資料の収集方針・選択基準・除籍基準を明文化し公開します。
PRも強化し、図書館サービス、図書展示企画や行事等が市民に広く伝わるようにします。図書館ホームぺージの充実や、館報『ひろば』に利用者の「おすすめの本」の掲載なども行います。移動図書館をイベント会場でPRに活用します。メールマガジンを発行し、最新情報を効果的に利用者に伝えます。

3.図書館を支える仕組みづくり

(1)図書館運営への市民の参加

① 図書館協議会委員の、市民公募を行います。
② 市民ボランティアによる図書館運営への参加機会を拡充します。
③ 「図書館友の会」のような市民の活動・組織づくりを支援します。

図書館協議会は「図書館法」第14条に規定された組織で、日野市では条例によって昭和40年(1965年)に設置されました。この協議会では、図書館の運営に関して館長の諮問に応じ、意見を述べ、図書館の民主的運営を図る役割があります。市民の意見をより反映させるため、平成20年度(2008年度)から、委員の一部を市民から公募します。
図書館を利用するだけではなく、運営に参加することで図書館の役に立ちたい、という声があります。現在、有償ボランティア(図書館協力者)には資料の点訳・音訳、無償ボランティアには図書館に来館が困難な方への、資料の配達業務を担っていただいています。
【来館者アンケート】では、図書館でしてみたいボランティアは、「書架の整理」12.9%、「本の修理」5.4%、「絵本などの読み聞かせ」4.4% などでした。図書館内で受け入れ体制を整え、市民の参加機会を拡充します。
ボランティアから一歩踏み込んだ、より積極的な図書館運営への参加も促します。例えばNPOを組織し、市民からの寄贈図書を受入・再活用へと還元させていく活動、グッズ販売、資料の宅配、弁償本の代行処理などが考えられます。図書館サービスを底上げするような市民の活動・組織づくりを支援します。

(2)団塊世代、シルバー世代の活躍の場

① 団塊世代、シルバー世代に図書館で活躍できる場を提供します。

団塊世代やシルバー世代にも図書館と関わる意欲のある方が多くいます。「まちかどミニ図書館」等、図書館で活躍する機会を提供します。図書館サービスの担い手を幅広く確保することで、図書館サービスの拡充を進めます。

(3)評価の仕組みづくり

① 図書館に市民公募による委員を加えた(仮称)図書館活動評価委員会の設置を図ります。
② 図書館の方針に適した評価指標と尺度を設定し、計測を開始します。

図書館サービス・運営に対して市民が評価する仕組みを作ります。まず、この計画の進行状況を定期的にチェックしてもらいます
これまで図書館サービスの評価指標は、貸出冊数や利用登録率といった統計が主でした。
今後、図書館に市民公募による委員を加えた(仮称)図書館活動評価委員会を設置し、この基本計画の目指す方向に合わせた評価指標と目標とする尺度を設定し、評価指標の計測を行います。評価指標と尺度の設定は、
利用者である市民とともに考え、計測や評価を一緒に行うことで、図書館サービスの成果を市民と分かち合い
ます。これらを通じて、「市民に開かれた図書館」にとどまらず、「市民とともに作り上げる図書館」を目指します。
例えば、この計画の一環として行った【来館者アンケート】の中の「市民が図書館サービスに満足しているか」に関する調査の定期的な実施などです。

付 計画の検討経過

(1)図書館基本計画策定委員会
図書館基本計画策定委員会は、公募市民8名、有識者2名、市役所職員10名の計20名で組織されました。第1回の委員会を平成18年(2006年)11月15日に開催し、平成20年(2008年)4月28日までに、19回の委員会を開催しました。
委員会の議事録は、図書館のホームページに掲載し、配布資料を中央図書館に備え、閲覧に供しました。

(2)アンケート調査
基本計画の策定にあたり、平成18年(2006年)12月から平成19年(2007年)1月にかけて市民アンケート等を実施し、基本計画策定の参考としました。

※アンケートのねらいは以下の3つです。
* 日野市立図書館を、あまり利用していない方の意見を聞く。
* 市民が日野市立図書館に、求めているものを知る。
* 市民の読書環境や、調べもの環境を知る。

■アンケートの概要

区分 方法 回収数
市民アンケート 無作為抽出2,000人対象に郵送配布・郵送回収 平成18年(2006年)12月実施 501票(回収率25.0%)
来館者アンケート 中央図書館、高幡図書館来館者に直接配布・回収 平成18年(2006年)12月に3日間実施
(日曜日・火曜日・水曜日) 1,213票(小学生以下129票を含む)
中学生・高校生 アンケート 中学校4校と高等学校3校の1・2年生各1クラス(601人)に配布・回収 平成19年(2007年)1月実施 538票(回収率89.5%)

■日野市立図書館基本計画策定委員会

開催回数 開催日時 主な議題 備考
第1回H18 11/15委員紹介、計画の方針とスケジュール、図書館に求められること(レクチャー)
第2回H18 12/6 アンケート調査について、委員の描く図書館像、フリートーキング
第3回H18 12/15 図書館の現状と課題について、フリートーキング
第4回H19 1/10 ミニワークショップ、目次構成案について
第5回H19 1/24 目次(案)について
第6回H19 1/31 目次(案)に沿って討議
第7回H19 2/14 アンケート結果について、目次(案)に沿って討議
第8回H19 2/21 目次(案)に沿って討議
第9回H19 3/ 8 目次(案)に沿って討議 施設計画について
第10回H19 3/28 目次(案)に沿って討議
第11回H19 4/11 運営計画について
第12回H19 4/23 原案について
第13回H19 5/14 原案について
第14回H19 7/17 原案について
第15回H19 8/16 原案について
第16回H19 8/27 原案について
第17回H19 9/13 原案について
第18回H19 12/21 原案について
第19回H20 4/28 最後のまとめ

■日野市立図書館基本計画策定委員会 委員名簿
選出区分氏名(敬称略) 関係機関名・役職名備考
有識者
二村健明星大学教授
山口徹雄日野市社会教育委員
公募市民
阿部 臣彌
久保田 正子
小林 卓
小林 美和
坂井 喜代子
中村 美智子
濱田 陽子
山崎 孝
行政職委員
田中 繁夫教育部参事
高田 明彦教育部参事H19.2.1より
佐野 栄一教育部参事H.20.2.1より
米田 裕治企画調整課長
高橋 治企画部部長H19.2.1より
岡野 仁企画調整課長H19.4.1より
村田 哲也企画調整課長H20.2.1より
田村 満財政課
佐藤 由加里財政課H18.7より
嵩原 安嗣財政課H.19.10.1より
森谷 秀信財政課H20.4.1より
高原 洋平職員課
平 義彦高齢福祉課
金子 義司高齢福祉課H20.4.1より
飯島 佐知子健康課
堀辺 美子子育て課
高橋 誠子育て課H18.10.1よりH19.9.30まで
金野 啓史文化スポーツ課
梶野 明信学校課
鈴木 基学校課H19.4(第12回)より
川口 文子図書館長
小澤 昭道図書館長H18.10.1より
事務局
川口 文子図書館H18.10.1よりH19.3.31まで
鬼倉 正敏図書館
清水 ゆかり図書館
飯倉 直子図書館
星 徹美図書館
熊澤 修企画調整課

くらしの中に図書館を-市民に役立ち、共に歩む図書館-
図書館基本計画(案)
平成20年4月
編集発行 日野市立中央図書館
〒191-0053
東京都日野市豊田 2-49
調査委託機関 株式会社 地域計画連合
〒170-0004
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電話番号 03-5974-2021


※図・表は省略してあります。PDF版をご覧ください。

日野市立図書館基本計画「くらしの中に図書館を」

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      日野市立図書館基本計画「くらしの中に図書館を」(素案)

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