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図書館員の本箱 ひろば2026年4月号

更新日:2026年3月28日

『資本主義の宿命 経済学は格差とどう向き合ってきたか』

橘木俊詔/著 講談社 2024年5月

 著者は経済学者であり、『格差社会-何が問題なのか』(2006)岩波新書など多くの著書で日本の格差、貧困の問題に警鐘を鳴らしています。本書は「経済成長(効率性)と公平性(平等性)がトレードオフの関係」にあり、「一方を立てれば、もう一方が犠牲になる」という現実を経済学の視点から考察しています。産業の発展と資本主義社会の成立、経済発展とそれに伴う貧困の発生について、経済学がどう解釈してきたのか歴史を振り返り、現代の世界各国の貧富の差や福祉、社会保障制度などにも触れています。経済学史が学べる本でもあるのですが、主題は日本の格差、貧困問題についてであり、第1章では日本の相対的貧困率の高さについて述べ、最終章ではその格差を是正するための提言をしています。

一億総中流社会と言われていた1970年代からバブル崩壊、失われた30年を経て、経済発展がもたらす貧富の差の拡大と貧困層の発生は避けられないのか、競争と平等は両立しないのかなど、本書は資本主義社会の普遍的なテーマを提供しています。(O)