図書館員の本箱 ひろば2026年1月号
更新日:2025年12月27日
『自分の人生に出会うために必要ないくつかのこと』
日本経済新聞に2023年4月から1年間土曜日朝刊に連載された「言葉のちから」から27篇を選んだものです。筆者はこの連載にあたり同じ人からの引用をしないことを決めていたとのことで、誰にも「刺さる」言葉が見つかるのではないでしょうか。本の最初から読む必要もない。書かれたものが読み手の主体性に従って意味を帯びてくることに可能性があると筆者は説いています。
「本質を問う生き方」という辰巳芳子さんとの対話のところを興味深く読んだ。「何を読むか」という問いには、ある物の名称が答えになる。しかし「読むとは何か」という問いには生きて経験してその上で語ることが求められる。という言葉が響いた。
今やAIを使っていとも簡単に答えが導き出される。それを駆使することも大事だが、自分の軸を見失わないようにしたい。インターネットで見つけた言葉よりも時間をかけて丁寧に生み出された言葉で綴られた書籍を用意しておく。それこそが図書館に求められていることだとも感じた。(S)
