図書館員の本箱 ひろば2025年9月号
更新日:2025年9月6日
『アライバル』
なんとインパクトの強い本なのでしょう! こんな本に出合ったのは初めてです! 文字のない、彩も少ない絵で表現されたストーリー。架空の世界のようで現実的で。悲しいけれど温かさも感じられて。もしも私たちが「言葉」のない世界に生きるとすれば、この本のような世界に生きるのかもしれない。言葉や情報に溢れた毎日の中で、この本に出会い、ほっと胸をなでおろすのです。
ところで私は文字を読むことに困難のある方への録音図書の作成を担当しています。この本を読みたいと利用者の方からリクエストをいただき、「この本の世界をどうやって録音図書で、言葉として伝えればよいだろうか」と、音訳者と試行錯誤する日々。音訳者と共に、「だれにも、どんな本でも届けたい」その思いをフル回転してこの図書と向き合い、録音図書の完成を目指しています。(N)