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図書館員の本箱 ひろば2025年6月号

更新日:2025年6月5日

『おさらをあらわなかったおじさん』

フィリス・クラジラフスキー/文 バーバラ・クーニー/絵 光吉 夏弥/訳 岩波書店 1978

大好きな絵本です。

まちはずれの小さな家に、猫と一緒に一人で住んでいるおじさん。おなかをすかして帰ってきて、たくさん晩御飯を作りました。おなかがいっぱいで食べ終わったらとてもくたびれて、使ったお皿をそのままながしにほうっておいて、明日の晩一緒に洗うことにしました。(あら、誰かさんみたい。笑)次の日の晩もさらにたくさん料理をしてそのままに。そしてその次の日も、どんどんとお皿がたまっていきます。そして家中のお皿というお皿、石鹸入れや灰皿や植木鉢まで使って洗い物は積み上がり、とうとう家に入りきらなくなり…それをおじさんはどうしたでしょう?

解決方法の豪快さ!今では「片づけられない人」とか「ゴミ屋敷問題」とか言われてしまうかもと、実はちょっと気になったのですが、なんとユーモラスなお話と素敵な絵。この古い絵本のおおらかさが、とても心地よいのです。

我が家では夫が洗い物をしてくれますが、フライパンやお鍋だけは使ったらすぐ洗うルールを破ると、ながしにそのままたまっています。あ~、だって作ったら早く食べたいんだもん。ラストでは、片づけてすっきりしているおじさんのリラックスムードもまた幸せな気持ちになる1冊です。(W)