『「やりがいのある仕事」という幻想』
-
「人は働くためにいきているのではない」 この本は、一緒に紹介されている十冊と幾冊かの本とは少しばかり、あるいは、全く違った趣の本だと思われます。では、どういった本か。自分の言葉でそれを表現しようとすると、どうにも要領を得ないというか、上手く伝えられる気がしてこないので、本文から多少引用する、「温かい言葉とか、温かい態度とか、そういうものがはっきりいって嫌いである。」どうでしょう、この本に漂う空気感のようなものが伝わったでしょうか。押しつけがましいところの一切なく、一人の考えとして綴られる言葉は、人によっては、冷たいと感じるかもしれません。しかし、この本を読んだあと、少しだけ心が軽くなると思います。
降識
『世にも奇妙な職業案内』
-
みなさんが「仕事」と聞いて思い浮かぶ職業には何があるでしょうか?警察、医者、弁護士に保育士さんに学校の先生...。このようなものが思い浮かぶと思います。ですが、世の中、変な職業もあるんです! この本では、ちょっと不思議な職業を御紹介しています。 赤ちゃん調教師に殴られ屋、恐竜掃除人など、名前を聞いただけでは想像できないような職業ばかり。これらはほんの一部に過ぎません。 13歳のハローワークにも載っていないオンリーワンな仕事人たち。 彼らの一見あり得ない職業で、楽しく真摯に働く人々の姿をぜひ覗いて見てください。
ティー
『県庁おもてなし課』
-
高知県の役所に新設されたおもてなし課。名前こそお役所っぽくないが、中身は......やる気あんのかって位、俗に言うお役所仕事。しかし、厳しくも心強い協力者たちと出会い変わっていく。え、高知県をレジャーランドに?! 『図書館戦争』『三匹のおっさん』等でお馴染みの有川浩の作品。話も面白く高知県に行ってみたくなること間違いなし!うちはこれで馬路村のゆずポンを買いました。もちろん、有川さんおなじみのラブコメ要素もございます!是非とも読んでみてください。ちなみに、県庁おもてなし課自体は、高知県に存在します。
モクモ
『トッカン 特別国税徴収官』
-
税金滞納者から問答無用で取り立てを行なう、みんなの嫌われ者、徴収官。その中でも、渡航に悪質な事案を担当するのがこの本のタイトルにもなっているトッカン(特別国税徴収官)です。東京国税局京橋地区税務署に所属する、主人公の涼宮深樹(通称ぐー子)は、冷血無比なトッカン・鏡雅愛の補佐として、今日も滞納者の取り立てに奔走しています。税金を払いたくても払えない者、払えるのに払わない者...... ぐー子は、人間の生活と欲望に直結した、「税金」について学んでいきます。 ぐー子に対する鏡トッカンのツッコミがとても面白いです!鏡トッカンのような上司なら大歓迎です!
殊子
『ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~』
-
古書には人の思いが詰まっている。執筆者の思いだけでなく、時に、手に取った人の思いも。 古書に関して膨大な知識を持つが、極度の人見知りであるビブリア古書堂の美人店主・栞子。彼女の元に、客から持ち込まれる古書にまつわる謎を紐解いていくというお話。 作中の古書は実在する有名な作品が多いので、本が好きな方、本の世界を広げたい方、カフェ等でゆったりとした知的な空間を味わいたい方にオススメの一冊となっております。また、栞子さんがとても可愛らしい方なので、試しに読んでもきっと、和み楽しめるでしょう。
モクモ
『はたらく魔王さま!』シリーズ
-
数多くの悪魔たちを従え、強大な力をもってして人間界を征服し損ねた大魔王サタン。一人の部下とともに逃げ延びた彼がたどり着いたのは、魔法の存在しない日本 東京都だった。力をほぼ失ってもなお世界征服の野望を諦めず、渋谷区笹塚のボロアパートに仮魔王城(六畳一間風呂無し)を構え、生計を立てるためにマグロナルドの正社員を目指して毎日アルバイトに励むようになって数ヵ月。自分を追ってやってきた勇者との再会を切っ掛けに起こり始める事件に対し、魔王として、一市民として、そして、マグロナルドクルーとして培った全てを生かして、立ち向かっていく。ファンタジーが好きな人、馬鹿な掛け合いが好きな人、気楽に本を読みたい人にオススメ。
降識
『まんまこと』シリーズ
-
江戸時代、町で起こる揉め事を玄関で裁定する町名主の跡取りとして生まれた麻之助は、毎日毎日大忙し!...と思いきや、これがまったくのお気楽者。 人の家から柿の実をもぎ取ったり、縁談話がくると布団にくるまり芋虫状態... しかし、そんな麻之助もやる時はやる男! いつもお気楽な麻之助は悪友である女好きのさわやか美青年清十郎と、同心見習いの吉五郎、そして周りの人たちと一緒に町で起こる様々な問題を解決し、最後には人々を幸せにさせる。 現代とは違う江戸時代の人のお仕事、そして江戸時代の人たちの優しさ、読んで感じてみてはいかがですか?
千代
『下町ロケット』
-
「その部品がなければ、ロケットは飛ばない――。」 主人公の夢はロケットの開発だった。しかし、夢半ばに家業の佃製作所を継ぐことに。日々経営のため奮闘していたところ、ライバル企業の妨害により会社存亡の崖っぷちに。佃製作所が持つ、ロケットの部品に関する特許を手放せば生き残れるが、果たして...... 夢と現実。社員や家族。男たちの浪漫。中小企業VS大手企業。かつての夢を、技術や意地で再びつかみ取ることは、できるのか。
モクモ
『ディズニー サービスの神様が教えてくれたこと』
-
「自分のためにつくろうとするな。お客様が求めるものを知り、お客様のためにつくるのだ」(抜粋)このウォルトの言葉はディズニーの精神の一つです。しかし、このセリフ。夢の国だけではなく、働くすべての人にも響く言葉ではないでしょうか? そんなウォルトの名言を絡めつつの全4話の感動短編が収録されています。 【電車の中では読まないで下さい。私はその場で泣き崩れてしまいました...。】こんな注意書きが本当になります。 きっと、サービスの神様が心温まる感動ストーリーとともに、働く人々の背中を押してくれるでしょう。 働くすべての人々へこの本を捧げます。
浩樹
『ふむふむ おしえてお仕事!』
-
「風が強く吹いている」「舟を編む」などで有名な人気作家・三浦しをんさんが様々な仕事をしている女性たちを紹介するインタビュー本。インタビュー本と言うと堅そうに聞こえるかもしれないが、しをんさんの軽妙な語り口で、クスクス笑いながら読める。気軽に手に取って欲しい。 出てくる人の職業は、靴職人、ビール職人、染織家、漫画家アシスタント(!)など実に多彩。 読んだら、その職業についての意識が変わるとともに、「どんな職業についていても、情熱を持って働いている人は格好いいかも」と素直に思える。「働く=会社で書類とにらめっこ」と思っている人に薦めたい一冊だ。
Koh
『字幕の中に人生』
-
1秒4文字、1行13文字。 これが字幕に課せられたルールだ。一般的な人がスムーズに読める字幕の文字量はこのくらいらしい。だがセリフが元々そのような長さであるとは限らない。つまり、字幕を作る人は、ただセリフを直訳しているのではなく、短くわかりやすい日本語に書き替えているのだ。 この本では、「タイタニック」や「スターウォーズ」などで字幕を作成した映画翻訳家の戸田奈津子さんが、映画の字幕がどのようにつくられるのか、から、自身の字幕製作者としての悲喜こもごもまで語っている。 読めば、「普段何気なく見ていた字幕の裏にはこんな苦労が!」と目からウロコが落ちるかも。 最近は吹き替えの映画が多いけれど、字幕付きの映画が見たくなった。
Koh
『靴を売るシンデレラ』
-
現代の女の子は、ガラスの靴を持った王子様を待ったりしない! 靴屋で働く高校生ジェナは、お客様にぴったりの靴を売るセンスを見込まれ、靴屋の女社長に、運転手として雇われることになります。社長は、もうすぐ息子に仕事を譲って引退するというのですが、実はその息子はライバル会社と手を組み、会社を乗っ取ろうとしていました。品質の良さを大切にする社長は、ジェナと共に各地の靴屋視察に向かい、利益ばかりを優先する息子に、反撃を試みますが...。 何と言っても16歳のジェナと73歳の女社長の、年の差57歳のコンビが最高!家族に問題を抱えるジェナと、かくしゃくたる老女社長が、時にぶつかりながら、次第にお互いへの信頼を深めていく様子は爽快です。ぜひこの二人の笑いと涙の旅の行方を見届けてください。 この作品が気に入った方は、同作者の「負けないパティシエガール」、「希望(ホープ)がいる町」もぜひ!
Koh
『トチノキ村の雑貨屋さん』
-
この本は題名の通り雑貨屋さんが出てきます。でも普通とは少し違う。普通の雑貨屋さんに来るのは人で、文房具などを買っていきますよね?ここに来るのは人でないものや、山奥に住む人などがいろいろな物を買いに来るのです。例えばロウソクの芯を買いに来る人もいます。 そしてここの雑貨屋さんに住むおばあちゃんはそんなことは気にせずに普通にいろんな物を売ってくれます。お金のない人は代わりの物と交換したりもします。売る物がない場合は、なにか別の代用出来そうな物を売ってくれます。 のどかな商売を見てみるのも、どうでしょうか?
四識
こちらもおすすめ!
『オール!』
千代
『空飛ぶ広報室』
殊子
『童話作家はいかが』
Koh
スタッフより
みなさん、こんにちは。
今回のテーマは「お仕事もの」ということで、仕事に関する小説やエッセイなどご紹介しています。ライトノベルから、時代物、果ては何やら怪しげな職業案内まで(!)バラエティ豊かにそろっていますが、気になる本はありましたか?もしあれば、ぜひお気軽に手に取ってみてください。
この「青春BOOKWORM」が、みなさんにとって新しい本と出会うきっかけとなれば幸いです。
ではまた次回もお楽しみに!
From:Koh
発行:日野市立図書館
装画:殊子