あいさつ
1人の作家が生み出した作品をいくつも読むとその作家の伝えたい「命題」のようなものに気が付く、ことがある。
それをもし大人数で読みとくことが出来たとしたらその読書体験は未来永劫、心に残り続けるのかもしれない。
作家リスト、今回は香月日輪さん。
この作家についてもこれを読み進めることでよくわかってくるだろう。
香る月と日の輪。姓と名が対象的でどこか美しい。
すでに描写が始まっているような気もする。
まるで詠まれた物のような奥ゆかしさがある。
なんて、言ってみたが本当はどんな作家なのか。
何を伝えたいのか。何が伝わったのか。
ぜひ最後まで読んで感じ取っていただきたい。
出来れば作品まで手を伸ばして欲しい。
From:ぴゃっぴゃに
『エル・シオン』徳間書店 2015年
バルキスは昼は城下町で母の作る薬を売るかたわら、夜は盗賊・神聖鳥(シモルグ・アンカ)として活躍している。
ある時バルキスは、残忍王ドオブレが探し求めていたという「オルムランデの魔王」が町外れの寺院に眠っている、という噂を聞く。バルキスはそこで、封印されていた神霊(ジンニー) のフップと名乗る少年と出会った。
一日中、共に行動するうちに残忍王ドオブレに神聖鳥(シモルグ・アンカ) と「オルムランデの魔王」が共に行動していることを知られてしまう。それをきっかけにバルキスの運命は大きく変化し始める。
"星よ 星よ
吾らの希望はどこに
太陽は はるか黒い霧のむこうがわ
我らの祈りはとどくや
星よ 星よ
月のない夜
せめて照らしておくれ 我らのゆく道
いつかあの
光の国へとつづく道"
(p. 9本文抜粋)
(Jade)
『妖怪アパートの幽雅な日常』シリーズ 講談社 2003~2009年(全10巻)
私の中の香月日輪さんといえば!!な作品です。
本編10冊と少し長いですが、読み始めたら止まらない!!
笑って泣ける人情あふれるストーリーです。
両親の死により親せきの家で肩身の狭い思いをしていた主人公・稲葉夕士。
彼は高校入学を機に一人暮らしを決意する。そこで出会った格安の下宿先は妖怪、幽霊、人間の住む「妖怪アパート」だった!?
妖怪たちと触れ合っていく中で変わっていく稲葉夕士とともに、個性的で魅力的なキャラクターと、思わずおなかが鳴ってしまいそうになるおいしそうなご飯にもぜひ注目してください!
児童文学だから手に取りづらいという、そこのあなた!
この作品は、アニメ、コミカライズ、文庫版、ドラマCD、舞台も出ているのでどんな方でも楽しめると思いますよ!!
(濡羽)
『香月流!幽雅な相談室~妖アパから人生まで~』講談社 2013年
『妖怪アパート』シリーズの著者である香月日輪先生が、読者からのさまざまな質問や相談に先生の世界観や価値観からズバッと回答!
忖度やくどい気遣いは一切無し!でもどこか温かく強い先生の人物像が何となく見えてきます。
大人になるにつれて漠然とある不安や疑問、どう進めばいいのか人生で迷ったときに、年齢、職業、性別に関わらず是非手に取って頂きたい作品。
大人子供に関わらず、人間どんな人物になるべきか一度は考えるもの。
日々正しいこと、当たり前のこととして教え込まれたものは本当に正しいのか、本当に大切にしなければならないものは何なのか、本当はこうしたいけど本当にそれでいいのか。
知らず知らずのうちに刷り込まれた日常的な偏見が本当に正しいのかを香月日輪先生が導いてくれます。
また、ちょくちょく挟まれる『妖怪アパート』シリーズの情報を見て、そちらにも興味が湧いてきます。
先生の思わずクスッと笑ってしまうような面白い口調や、この本の文字数、構成は読書が苦手な人でも気軽に読める内容となっています。
紹介者も実は読書が大の苦手です。
(大学生ではありますが、小学校中学年向けの小説を読むのも苦労するほどに...笑)。
しかしそんな私も僅か二日間で読破できました。
是非読んでみてください。さまざまな「当たり前」を再度考えさせられます。
(桜雨)
『桜大の不思議の森』徳間書店 2021年
作品の舞台である黒沼村の民話集とも言うことができる。
短編が繋がっていって一つの物語が作られていく。
前半部分は正に民話のような黒沼村で起こる不思議な出来事の数々が語られている。
そんな黒沼村には「禁忌の場所」に繋がる森がある。
村人たちはそこに神様が居ると畏れて、信仰していた。
主人公はそんな、森の神秘に触れたことのある桜大(おうた)、黒沼村に住む13歳の少年である。
後半は、桜大を中心に、弟の桃吾や都会からの転校生、センセイと呼ばれる移住者などの物語が語られる。
"緑人間"や不思議なぬいぐるみの話、狸やヒダル神など怖いけれど、どこか懐かしさを感じさせてくれる話の数々です。
香月日輪さんの他の作品との関連も考えながら読むとより楽しいと思います。
また、民俗学に興味がある方にはピッタリの一冊です。
(Jade)
『ねこまたのおばばと物の怪たち』KADOKAWA/角川文庫 2014年
主人公は小学5年生の女の子、舞子である。
おうちではいい子で過ごすために毎日頑張っているけれど、実は学校でいじめられていた。
舞子は自分で、自分が暗いからいじめられているのだと思う程落ち込んでいた。
そんな時、いじめっ子達にイラズ神社、"幽霊が出る"という噂のある場所にあるお堂のお札を剥がして持ってくるように言われてしまう......。
それを持って来ないと、お母さんがくれた大切なふでばこを返してくれないというのである。
イラズ神社へ勇気を出して踏み込んだ舞子に待っていたのは、思いもよらない世界だった。
猫又のおばばに、カマイタチ、キツネの参左(さんざ)、河童の吉弥(きちや)などの楽しい仲間がたくさん登場します。
舞子ちゃんの変化だけでなく、妖怪達にもぜひ注目して読んでみてください。
(Jade)
『ファンム・アレース』シリーズ 講談社 2006~2011年(全6巻)
雇われの用心棒をしている三つ目の剣士・バビロンはある騒ぎの中で青い瞳の少女・ララと巡り合う。
幼いながらに術を扱えるララは亡き母の故郷を目指していた。
しかし、ララには命を狙う追手がいるらしい。
ある契約によってバビロンは護衛としてララと共に旅をすることになる。
運命が絡まる冒険の物語。
(朱)
『そっと、抱きよせて 競作集<怪談実話系>』
辻村 深月、香月 日輪、藤野 恵美、詠坂 雄二、伊藤 三巳華、朱野 帰子、安曇 潤平、朱雀門 出、小島 水青、松村 進吉
KADOKAWA/角川文庫 2014年
「正月の二日に女が死ぬと、七人道連れにする」という話を聞いた主人公。
詳しく話を聞くとそれは......
田舎を舞台にした香月先生の『七人道連れ』。
「い、田舎だなぁ」と笑える部分もありながらじんわり来る恐ろしさ。
香月日輪さんを含め10人の作家がそれぞれの実話怪談を紡ぎ出す競作集。
ちょっとした寒気をぜひお楽しみください。
(桜草)
『僕とおじいちゃんと魔法の塔』 KADOKAWA/角川文庫 2010年
僕が初めて読んだ香月さんの作品が、この『僕とおじいちゃんと魔法の塔』でした。
何分私は大変面倒臭がりな人間ですから、読み始めるのにとてつもない時間が掛かってしまいました。申し訳ありませんでした。
さて、それでは本題に入りましょう。
本を読んで、私は初めに小学生向けの本なのか?と思いました。
主人公の年齢や難しい言葉が少ない等、小学生高学年なら夏の読書感想文にもってこいなんじゃないか?と言うのが正直な感想です。
いや、読み易いというのは重要な要素ですよ。
最近では小学生の活字離れが深刻な問題となってますから(個人的な見解です)、少しでも読み易い方がそれだけ勧めることが出来る、という訳です。大変有難いですね。
しかし、だからと言って一概に子供向け、という訳でも勿論ありません。
龍神という名前に面食らいながらも読み進めていくと、これが何とも面白い!(何様のつもりだ貴様)。
まず一つ目は、本のタイトルにもなっているおじいちゃんの塔。
巨大な書庫や魔法研究の部屋など、かつての芸術家たちが人生を燃やした塔に私も行ってみたいものです。(個人的には一日中本を読んでいたい。)
二つ目に印象に残っているものは「おじいちゃんの名言」です。
親たちが言うことすべてが正しいわけではない、自分の生きたいように生きるということは、今も変わらず大切なことではないのでしょうか?
「親がああ言うから」とか自分以外の人に言われたとおりにすることは本当に正しいことなのか、自分自身考えるきっかけになりました。
何故か私の文章は感想文みたいに説教っぽくなってしまうきらいがあるのですが、今回も例にもれず説教っぽくなってしまいましたね。
こんな文章でも読みたい意欲が湧いてくれたら幸いです。
(三弐肆窮助)
『Twinkle-ひかりもの teens' best selections 17』
香月日輪 後藤みわこ ひこ・田中 寮美千子 令丈ヒロ子/著
ポプラ社 2008年
上の『僕とおじいちゃんと魔法の塔』と打って変わって、こちらの『Twinkle - ひかりもの』という作品は、少し高い年齢層を狙った作品のように感じられました。
この作品は、主人公が関西の中学生という設定で描かれた香月さんを含めた五人の作家の方々による合作となっています。
さて、それでは本紹介の本題に移りたいと思うのですが、最初に言っておきます。最推しです。
あまり深くの内容まで語ってしまうとネタバレになってしまうので、本の内容に深く触れない、私独自の紹介スタイルを貫いて今回もやっていきたいと思います。
◆オススメポイント其の一 一冊で五度楽しい
前述の通り、本作品は五人の作家さんの合作となっております。
香月さんの本を紹介する筈なのに他の作家さんをポイントにするたぁ一体どういう了見だ、とツッコミ待ちな状況なのは否めませんが、それでも私はこの点を推したい。
理由は至極簡単、一冊で五人分の話を読むことが出来るからです。
お得感マシマシです。(多分怒られる)
◆オススメポイント其の二 薄い
二つ目のポイントはこれになります。
一見ふざけたようなポイントだと思われる方も居るのではないでしょうか。しかしこれも重要なポイントの一つだと私は考えます。
まず前提として、現代の子供は活字離れが加速しているというのは皆さんどこかで一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
私も最近身の回りを見て実感したことですが、本当に若者の読書人口が減っています。ええ、ヤバいです。
私の通っている高校ではクラスごとに学級文庫なるものが存在しますが、もうほとんど廃墟です。機能していません。
それに実際友人に訊いてみても「読書? あまり好きじゃない」「ラノベだったら月一冊は読む」「ソシャゲしか勝たん」などとのたまってやがるのが現状です。
勿論のこと、ラノベやソシャゲの類を否定している訳では全くございません。
私だってラノベ読みますしソシャゲも人並みにやりますから。
でも、私はこの『Twinkle-ひかりもの』を含む大衆文学作品を読んでほしい!(バリバリの純文学を読めとは言わないから頼む。マジで。)
そんな時に本が分厚いってなると、こちらとしても勧めにくくなりますし、読む側もなかなか気持ち的に読み進めにくくなってしまうものなんですよね。(経験者)
しかし薄ければ、しかも五部構成なんですから少しは「読みたい!」という気持ちになってくれるのではないでしょうか。
本来ならばあと二つオススメポイントを書きたかったところなのですが、予定字数を盛大にオーバーし始めてしまったので、そろそろ終わりにしなくてはなりません。
(全部三弐肆窮助のせいです。反省してほしいですね)
香月さんはこの作品において『光る海』という作品を載せていらっしゃるのですが、「面白い」というより「美しい」と感じたというのが私の感想です。
もしよろしければ読んでみて頂けると幸いです。
ありがとうございました。
(三弐肆窮助)
『黒沼 香月日輪のこわい話』徳間書店 2021年
学校の怪談をテーマとした「この先危険区域」や、ほろっと切ないちょっと大人向けな「譚の話」など、様々な短編が収録された一冊です。
一応児童向けなので、涙が出るほど怖い!という話はありませんでした(個人差あり)が、あとからじわじわと鈍い恐ろしさがやってくる、そんな作品でした。
特に印象に残っている話は「猫屋」という、路地裏へ入ったことで不思議な体験をする男の話なのですが、私も昔似たような体験をしたことがあったので、それを思い出してとても懐かしい気持ちでいます。(男が路地裏でどのような体験をしたのかは、ぜひ本編でご確認ください!)
一つのお話がとても短くサクサク読めるので、ちょっとした隙間時間に嗜めます。
個人的に懐かしさと美しさで心が洗われたデトックス作品でしたので、おすすめです!
(千代)
『下町不思議町物語』徳間書店 2021年
この春、越してきた直之は小学校で元気いっぱいに過ごしていた。
しかし、それをよく思わない学年のボスともいえる耕太からはいつも難癖をつけられる。
家でもあまりくつろぐことのできない直之、そんな彼が放課後に熱心に通うのは路地の向こう側にある、ふしみ町。
そこは不思議町とも呼ばれていて、大都会の隣合わせになっているとは思えない、昔ながらの情緒あふれるそして不思議がいっぱいの町だった。
直之は不思議町にある師匠の家で、勉強をしたりご飯を食べたり色々なことをして楽しく過ごす。
直之の師匠は高塔といい、自らを修繕屋(リペアラー)と名乗った。
この物語で、修繕屋は何を直すのだろうか。
(Jade)
警視庁生活安全部遊撃捜査班シリーズ
『全裸男と柴犬男』講談社 2013年
『全裸男と蛇男』講談社 2014年
まず、タイトルのインパクトが強いですよね!!
霊感ゼロの刑事・石田の異動先は超常現象対策課だった!
相棒の全裸で幽体離脱癖のあるぐーたらイケメン男・京介をはじめオネェ口調の警視や大食いで常にポーカーフェイスの紅一点など、個性派ぞろいのキャラクターとともに妖怪がらみの調査に挑む......
1つ1つのワードが強すぎませんか!?
児童文学作品が多い香月さんには珍しいライトな1作となっております。
(濡羽)
『地獄堂霊界通信』シリーズ 講談社 2015~2017年 (全8巻)
ホラーが苦手?ならこちらはどうでしょうか?
子ども向けホラー小説『地獄堂霊界通信』。
最強の小学生、てっちゃん・リョーチン・椎名のワルガキ三人組が、街のはずれにある薬屋・極楽堂、通称"地獄堂"の店主に不思議な言葉を教えられるところから物語は始まります。
(桜草)
『なぞの扉をひらく 日本児童文学者協会70周年企画 児童文学10の冒険』より
「地獄堂と三人悪と幽霊と」偕成社 2018年
この作品は、『児童文学者協会70周年記念 児童文学10の冒険 なぞの扉をひらく』に収録されている作品で、『地獄堂霊界通信』の第1巻1話と同じものです。
町内いたずら大王三人悪の、てっちゃん・リョーチン・椎名が薬屋・極楽堂、通称"地獄堂"の店主から教えられた呪文を唱えたとき、異世界への扉が開かれるー。誰もが一度は考える好奇心の詰まったシリーズの始まり、まさに「なぞの扉をひらく」ですね!!
この話を読んで続きが気になった人は、ぜひ『地獄堂霊界通信』へ!!
(濡羽)
ヤングスタッフ座談会!
Q.香月先生にハマったきっかけは?
モクモ:じゃあまず、香月さんにハマったきっかけは?
朱:最初は、父親が持っていて、納戸に積んであったんですよ。
それを「読んでいいか?」と聞いたら、「ダメだ」と言われて......。
「なんで?」と聞き返したら、「お前はハマったら絶対に抜けられないから」と言われて、「分かった」って言って納戸に篭って全部読みました。(笑)
(一同爆笑)
朱:『地獄堂』、『妖アパ』の順番で読んで、そこからどんどん読み進めていきました。
モクモ:どこが好き?
朱:世界観としては、それこそ『地獄堂』と『妖アパ』の世界線が若干近いというのもあって、続けて読んで面白いし、キャラクターは魅力的な人が多いし、ご飯はおいしそうだし!!
猩々:それな!
モクモ:その点、猩々ちゃんはどうなの?何でハマったの?
猩々:俺は、中2の時に『妖アパ』でまずハマったな。
『妖アパ』を読んで「香月さんって面白いんだな」と思って、「そういえば、おかんが地獄堂っていうのをおすすめしていたな......」と読んでみたら「やっべ面白え!」と思って(笑)そこから、『下町不思議町物語』、『大江戸妖怪かわら版』っていう風にどんどん読んでいった。
モクモ:猩々ちゃん的には、その「やっべぇ面白ぇ!」はどこだったの?
猩々:もともとホラーが苦手だったんだけど、読んだところで全然怖くなかったんだよね。
そこで、「あ、食わず嫌いだったんだ」って気が付いた。
しかも、ちょうど中学2年生の反抗期&思春期で、ひねくれまくる時期だったから、「そうか世の中の常識って疑っていいんだ!」っていう考えにさせてくれたのが、香月先生だった。
モクモ:Jadeさんは、香月先生を読んだきっかけは?
Jade:ラノベを読んでいた流れで、『全裸男と柴犬男』を最初に読んだかな。『妖アパ』はアニメで観た。
作家で追いかけて本を読んでいるわけじゃないから、そこまでたくさんは読んでないかな。
「妖怪が出てくるらしいぞ?」っていうのと、あと絵が可愛いなと思ったら読む。『エル・シオン』とかも、そこが読んだきっかけ。
モクモ:Jadeさん的、香月先生の好きなところはどんなところなの?
Jade:妖怪をいっぱい出してくれるから好き。
一同:あぁ~~。(納得の頷き)
朱:香月先生の作品は、妖怪とか精霊とか人外がたくさん出てくる。
Jade:そう!!人外好き。(笑)
朱:大体主人公サイドは人なんだけど、作中に人外がたくさん登場するよね。人外のちょっと怖いところもありつつ、優しいところもありつつの関係性が面白い。
Q.好きなキャラクターは?
モクモ:今さ、みんなの話聞いていて、妖怪とか色んな人外が出てくるわけじゃん。
好きな人外とかいる?
Jade:香月さんのやつでは居ないかも。吸血鬼が凄い好きだから。
朱:いや、吸血鬼が出てくるものもあるんだよ!
Jade:私が読んでないだけか。
朱:そう。『地獄堂』の第2シーズンで出てくる。
Jade:長いよ~!!(笑)
猩々:『地獄堂』は、第2シーズンから読んでも問題ない。
朱:どこから読んでも面白いから、たぶん大丈夫。
猩々:1巻は確かに読んだ方がいいけど、あとはサザエさん方式のような感じかな?
朱:なんとなく友だちが増えていく様子とかはあるけど、別に単発で読んでも問題ないって感じ。
モクモ:気になる場合は、とりあえず1巻読んで、そこから飛んでも大丈夫?
猩々:全然問題ない。
モクモ:人外関係なく、好きなキャラだとどう?
朱:一番最初に、『地獄堂』の三人悪はほんとにヒーローだと思った。
それこそ読んだのが小3くらいで、「こんなかっこいい先輩がいるんだ」と思ったらあっという間に追い抜かしてて、時の流れが早い(笑)
猩々:俺は『妖アパ』のクリとシロが大好き。子どもと犬の幽霊なんだけど、生い立ちがものすごく壮絶で、おっさんとしてはもう甘やかしたい!
あと好きなキャラは、『大江戸妖怪かわら版』の鬼火の旦那、もしくは修繕屋さんかな。きれいごとで終わらせない生き方ってのがいいよね。
朱:『妖アパ』の古本屋さんとか画家とか、それこそ一色さんとかは、「選ばせてくれるけど常に守ってくれるわけじゃない」ってところが、かっこいい大人って感じ。
猩々:子供にとって理想の大人だよね、登場人物の年長者たちは。
Q.ご飯の話をしたい!
朱:『妖アパ』は料理本(『妖怪アパートの幽雅な食卓』)がでるくらいで、レシピとか写真も載ってておいしそうだよね!
シリーズ読んだ中で好きなのは、コロッケ。
「コロッケを冷えたご飯の上にのせて黄色いたくあんと一緒に食べるのが最高なんだよ」って書いてあって、「コロッケ食いたい、たくあん買ってくるかー!」ってなった。
そしたらコロッケでたくあん欲しくなる体質になっちゃった(笑)
モクモ:人生に影響与えてんじゃん(笑)
猩々:読んでる途中で口の中がえらいことになるよね。
朱:他の料理がメインの本だとおなかすかない人なんだけど、これだけは読んでておなかがすいちゃう。
猩々:擬音のおかげなのかな。
食べてるときにも「サクサクした」とかって描写あるし、すごい描写が細かくて、夜に読むとすごい腹が減る(笑)
好きな料理をひとつ挙げるなら、8巻に出てくる「牛肉飯おかかサンド」は親に作ってもらったからすごい記憶に残ってる。
Jade:私はごはんの描写よりも、景色とか「想像する色」みたいなものの方が印象に残ってるかな。
『ねこまた』でたしか金魚みたいな電気の魚が出てきたけど、得体のしれないものなのに読んでて想像できた。
朱:ビジュアルがなんとなくわかるもの多いよね。
Jade:いっぱい読んだわけじゃないけど、『エル・シオン』とかも、読んでて自分の頭の中に風景が浮かぶみたいな、そういう描写だった覚えがあるかな。
猩々:想像力を掻き立てる感じがするよなあ。
Q.おすすめの作品は?
モクモ:『妖アパ』がいちばん読んでる人多いよね。
『妖アパ』から入った人へのおすすめとか、そうじゃなくてもおすすめの本はある?
朱:不思議なものが好きな人とか、ごはん食べるのが好きな人におすすめなものが多いかな。
ビジュアル好きな人だったら『全裸男』シリーズとか、ファンタジー好きな人には『エル・シオン』とか『ファンム・アレース』をおすすめしたい。
『エル・シオン』と『ファンム・アレース』はがっつりファンタジーで、世界観も少しつながってるからセットで読んで欲しいな。
猩々:あとは、読む人の年齢層によると思う。
『妖アパ』『地獄堂』『ファンム・アレース』は読みやすいから子どもにおすすめ。
『大江戸』『黒沼』は、大人におすすめしたい。
中学生に向けてだと、中学生が主人公の作品は少ないから挙げるの難しいけど、『僕とおじいちゃん~』かな。
朱:たしかに『大江戸』は語り口が江戸だから、言い回しの面白さは大きくなってからのほうが楽しめるかも。
Jade:中学生にすすめるなら、『エル・シオン』か『桜大~』かな。
『エル・シオン』はストーリーがめっちゃ好き。『桜大~』は本を読むのが好きな人は面白いって思ってもらえるんじゃないかな。
ファンタジーは人によるけど、『桜大~』の世界観は、まだ身近にある感じがするから年齢問わないと思う。
朱:怖いのが苦手なら『妖アパ』で、怖いのが好きで、長い文章が得意じゃないなら『地獄堂』がおすすめ。『地獄堂』は短編集っぽいから読みやすいよ。
※作品名は省略しています。
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございます!
興味のある本はありましたか?どの紹介も好きという気持ちが溢れてましたね。
香月さんのことを知らなかった人も新しい出会いを求めてぜひ気になった本を手に取ってみてください。
ヤングスタッフ一同、本と一緒にあなた達が来るのを楽しみに待ってます!
From:あき
発行:日野市立図書館
製作:日野ヤングスタッフ
令和5年(2023年)8月