はやみねかおる
更新日:2013年3月1日
はじめに
皆さんこんにちは、日野ヤングスタッフです。
今回取り上げる作家は、はやみねかおるさんです!
私がはやみねさんの作品に出会ったのは小学校高学年から中学生にかけてでした。この冊子で紹介されている『怪盗クイーン』や『都会トム』などのシリーズを読み始めたのがきっかけです。高校生となった今でも読み、楽しんでいます。
そんな魅力溢れるはやみねさんワールドを少しでも知っていただければと思います。
From:夜織
作品紹介
隣に引っ越してきたのはとても不思議な名探偵でした――.
「名探偵夢水清志郎」シリーズ
「名探偵夢水清志郎事件ノート」シリーズ 講談社青い鳥文庫 村田四郎・絵
- 『そして五人がいなくなる』 講談社 1994年
- 『亡霊は夜歩く』 講談社 1994年
- 『消える総生島』 講談社 1995年
- 『魔女の隠れ里』 講談社 1996年
- 『踊る夜光怪人』 講談社 1997年
- 『機巧館のかぞえ唄』 講談社 1998年
- 『人形は笑わない』 講談社 2001年
- 『「ミステリーの館」へ、ようこそ』 講談社 2002年
- 『あやかし修学旅行 鵺のなく夜』 講談社 2003年
- 『笛吹き男とサクセス塾の秘密』 講談社 2004年
- 『ハワイ幽霊城の謎』 講談社 2006年
- 『卒業 開かずの教室を開けるとき』 講談社 2009年
ずっと空き家だったお隣の洋館。ある春の日に引っ越してきたのは、黒い背広を着たやせて背が高く黒い人、職業は名探偵と名乗る、元・大学教授の夢水清志郎だった。何だか謎めいた彼の事を私たちは「教授」と呼ぶ事にしたのだけれど、教授と出会ってから私たちの毎日はミステリーの連続に...!?2009年に『卒業 開かずの教室を開けるとき』で『名探偵夢水清志郎事件ノート』シリーズは一度完結してしまったけれど、2011年から『名探偵夢水清志郎の事件簿』として再スタートされました!たくさんのミステリーや夢水清志郎のキャラクターだけでなく、彼と過ごす毎日の中で少しずつ成長してゆく中学生のみんなも魅力的。はやみねファンならずとも必ずおさえておきたい大人気シリーズです。(かーこ)
「名探偵夢水清志郎事件ノート外伝」シリーズ 講談社青い鳥文庫 村田四郎・絵
- 『ギヤマン壺の謎』 講談社 1999年
- 『徳利長屋の怪』 講談社 1999年
舞台は江戸時代!?教授のご先祖様が登場するよ!
「名探偵夢水清志郎の事件簿」シリーズ 講談社青い鳥文庫 佐藤友生・絵
- 『名探偵VS怪人幻影師』 講談社 2011年
- 『名探偵VS.学校の七不思議』 講談社 2012年
「夢水清志郎に挑戦!」シリーズ 青い鳥おもしろランド
- 『名探偵ものしりクイズ』 講談社 2007年
- 『超名探偵ものしりクイズ』 講談社 2008年
- 『極名探偵ものしりクイズ』 講談社 2009年
クイズで教授と対決しちゃおう!
優雅に、華麗に、美しく――.
「怪盗クイーン」シリーズ
「怪盗クイーン」シリーズ 「怪盗クイーン」シリーズ 講談社青い鳥文庫 K2商会・絵
- 『怪盗クイーンはサーカスがお好き』 講談社 2002年
- 『怪盗クイーンの優雅な休暇』 講談社 2003年
- 『怪盗クイーンと魔窟王の対決』講談社 2004年
- 『怪盗クイーン、仮面舞踏会にて ピラミッドキャップの謎 前編』 講談社 2008年
- 『怪盗クイーンに月の砂漠を ピラミッドキャップの謎 後編』 講談社 2008年
- 『怪盗クイーン、かぐや姫は夢を見る』 講談社 2011年
科学が発展した現代、怪盗なんて...と思うかもしれません。ですがこの作品の主人公である怪盗・クイーンはそんなのお構い無し。友達(仕事上のパートナー)であるジョーカーと人工知能RDをからかい(迷惑をかけ)ながら楽しく華麗に、そして派手に『怪盗』をしていきます。前代未聞な怪盗クイーンに、貴方も魅了されてみませんか?(夜織)
巨大な飛行船で世界中を飛びまわり、予告状を出した上で、厳重な警備をものともせず、お宝を盗み出す怪盗...。えっ、もうそんな怪盗なんて絶滅しちゃったんじゃないかって?それがいるんだな、ここに。変装の名人で誰もその正体を知らない謎の怪盗クイーンとその助手ジョーカー。そんな二人はもちろん、クイーンを追いかける警察や、勝負を挑んでくる謎の組織の面々も皆個性的で魅力的だけど...。影の主役は、何と言っても、クイーンの飛行船トルバドゥールを管理する、世界最高の人工知能RD!怪盗としての腕はいいけど、飛行船にネコを何十匹も連れ込んだり、なかなか働こうとしなかったり、一筋縄じゃいかないクイーンのせいで、いろいろお仕事が増えちゃうRDの苦労は涙なしには語れない(!?)そんなRDがクイーンのところへやってきた経緯を知りたい方は、『いつも心に好奇心』も併せてどうぞ!(Koh)
【番外編】「初楼 前史」 『おもしろい話が読みたい! ワンダー編』所収 講談社 2010年
怪盗クイーンの宿敵(?)初楼の秘密が分るよ!
名探偵夢水清志郎 VS 怪盗クイーン⁉
夢水清志郎と怪盗クイーンは、これまでに何度か対決しているんだよ!夢水ファンのあなたも、クイーンファンのあなたも、どっちも大好きというあなたも、全部チェックしているかな?
『いつも心に好奇心!』 講談社 2000年 はやみねかおる・松原秀行・著
怪盗クイーンが初めて登場した作品は、青い鳥文庫20周年記念特別企画として出版されたコチラ。はやみねかおるさんと、『パスワード』シリーズでおなじみの松原秀行さんが、それぞれ「クイーン」、「ジョーカー」、「飛行船」、「人工知能」という4つのキーワードを元に推理小説を書くという試みから誕生したんだよ。夢水清志郎と怪盗クイーンの初対決、「パソコン通信探偵団」の回文をめぐるミステリー、どちらもオススメです!
『オリエント急行とパンドラの匣』 講談社 2005年
なんと今度の対決は、ヨーロッパを横断するオリエント急行が舞台!古より伝わるといわれるお宝「パンドラの匣」をめぐって、夢水清志郎と怪盗クイーンが大活躍するよ!怪盗クイーンのライバル(?)探偵卿の娘も登場するので、注目してみてね。
「出逢い+1」 『おもしろい話が読みたい! 白虎編』所収 講談社 2005年
青い鳥文庫25周年記念特別企画として出版された、青い鳥文庫の人気作家が、東西対抗で腕を競う短編集。白虎編のコチラは、西日本を代表する5人の作家の作品を収録しています。この短編「出逢い+1」では、怪盗クイーンとジョーカーの出逢い、夢水清志郎はなぜ大学の教授をやめる事になったのかが分かるよ!
ジョーカーの過去の話、そしてクイーンとの出逢いをつづった物語。寂しくなるけど温かくなる、そんなお話です。(夜織)
「少年名探偵虹北恭助の冒険」シリーズ
- 『少年名探偵虹北恭助の冒険』 講談社 2000年
- 『少年名探偵虹北恭助の新冒険』 講談社 2002年
- 『少年名探偵虹北恭助の新・新冒険』 講談社 2002年
- 『少年名探偵虹北恭助のハイスクール・アドベンチャー』 講談社 2004年
- 『少年名探偵虹北恭助の冒険フランス陽炎村事件』 講談社 2009年
名探偵だけどそれゆえに少し"普通"から外れてしまっている少年名探偵と、そんな彼に対し、つっこみをいれつつ(逆につっこまれたりもしつつ)、時には怒ったり、励ましたりするワトソン役の女の子、その周りの個性的な人々。日常のちょっとした謎からフランスのとある村で起こった奇妙な事件まで、謎解きの浪漫満載で、ドキドキ・わくわく感がありつつも、読後感はちょっぴり切なくて...「これぞ、はやみねかおる」というシリーズだと私は思いますが、どうでしょうか。 あっ、そうそう、やまさきもへじ氏によるキュートなイラストも必見なので、是非、講談社ノベルス版でどうぞ~。(Koh)
元気で明るいケーキ屋さんの娘・響子ちゃん。「社会生活不適合者」と呼ばれるほど集団生活に馴染めず学校に通うことができない、並外れた推理力を持つ恭助。この二人が、商店街や学校で起こる不思議な事件を解決してゆくシリーズ。明るくて楽しい子どもたちの生活だけじゃなくて、自ら学校に行かないという選択をした恭助を中心に、子どもと大人、それぞれの人間関係の描写がとても緻密で、何気ない言葉のやりとりからも考えさせられる部分がたくさんある作品だと思います。はやみねさんのシリーズ作品では、一番好きなシリーズです。(かーこ)
放課後はぼくらのアドベンチャー・ワールド!
「都会のトム&ソーヤ」シリーズ
「都会のトム&ソーヤ」シリーズ YA!ENTERTAINMENT
- 『都会のトム&ソーヤ 1』講談社 2003年
- 『都会のトム&ソーヤ 2 乱! run!ラン!』 講談社 2004年
- 『都会のトム&ソーヤ 3 いつになったら作戦終了?』 講談社 2005年
- 『都会のトム&ソーヤ 4 四重奏』 講談社 2006年
- 『都会のトム&ソーヤ 5 In塀戸 上・下』 講談社 2007年
- 『都会のトム&ソーヤ 6 ぼくの家へおいで』 講談社 2008年
- 『都会のトム&ソーヤ 7 怪人は夢に舞う 理論編』 講談社 2009年
- 『都会のトム&ソーヤ 8 怪人は夢に舞う 実践編』 講談社 2010年
- 『都会のトム&ソーヤ 9 前夜祭 内人side』 講談社 2011年
- 『都会のトム&ソーヤ10 前夜祭 創也side』 講談社 2012年
「都会のトム&ソーヤ」シリーズ番外編 YA!ENTERTAINMENT にしけいこ・絵
- 『都会のトム&ソーヤ完全ガイド』 講談社 2009年
- 『都会のトム&ソーヤ ゲーム・ブック 修学旅行においで』 講談社 2012年
主人公の内藤内人は、小さい頃おばあちゃんに教え込まれた(?)豊富なサバイバルの知恵を持っていて、どんな状況でも切り抜けてしまいます。こんな人が友人だったら毎日楽しいだろうなって思います。それに近くに居(い)るだけで安心できそうです(笑)。本人曰く「どこにでもいる平凡な中学2年生」だそうですが平凡ではないだろう...。視力が良く、両目2.0あるそうですがその描写を見るたびに羨ましくなってしまいます(笑)。無料の物は全て貰っておく派らしく、風船まで無料だからと貰ったときには笑ってしまいました。
竜王創也は、とても頭が良いのにどこか危なっかしいところがあり、本能の赴くままに猪突猛進な行動をした結果、最終的にはいつも内人のサバイバル知識を頼ります。そんなところが可愛いと思います(真顔)
この二人が、都会を舞台に究極のゲームを作るために冒険をするお話です。テンポよい話と端々に挟まれているジョークで新刊がでるたび一気に読まされてしまう魅力を持っています。また、二人のゲームへの情熱が読んでいて伝わってきて、こちらまで二人と一緒にゲームを作ってみたいという気持ちになってくるほどです(笑)少しでも気になりましたら、是非是非お手に取ってみていただけると嬉しいです。(殊子)
頭がいいのにどこか抜けてる創也と、全てが普通なのにサバイバル知識は豊富な内人の二人はただのクラスメートだった。それが変わったのは、創也にもらった一つの鍵から...都会で繰り広げられるこのお話、ぜひ読んでください。きっと都会を見る目が変わります。(夜織)
究極のRPGゲームを作ろうとしている頭脳戦担当の創也と、サバイバル担当の内人がタッグを組んで、繰り広げられる都会を舞台にした現代アドベンチャー!...のはずなんだけど、創也...君は一体いつからそんなに猪突猛進のうっかりものになっちゃったんだ...。まっ、それはともかく、自称"普通の中学生"内人のスゴいサバイバル技術にも要注目なこのシリーズ、ゲームやマンガが好きで、普段はあんまり本を読まないような人にもおすすめだな。(Koh)
平凡中学生の内藤内人はある日街で、成績優秀、大財閥の跡取り息子というすごい同級生の竜王創也を見かける。そのことをきっかけに二人の冒険が始まります。冒険の舞台は「都会」です。今、私たちがいるこのまちにもあるようなところすべてが冒険する場所です。読めばきっとまちを冒険したくなります。(千代)
どうなる!? 超真面目男子・快人の大学生活!
『僕と先輩のマジカル・ライフ』 角川書店:2003年、角川文庫:2006年
一生懸命努力して念願の大学に合格し、真面目に大学生活を送ろうと心に決めていた真面目男子・快人。快人の幼なじみでろくに受験勉強もせずに彼と同じ大学に合格しちゃったエキセントリック系美少女・春奈。二人は大学の先輩である長曽我部に、「あやかし研究会」といういかにも怪しいサークルに入部させられてしまい...!?この作品を読んだのは高校生の頃。はやみねさんの作品といえば小・中学生むけというイメージだったんだけど、大学生活を描いたこのお話がとっても面白くて、これから大学生になっても、大人になっても読んでいきたい作家だなって思い、今に至ります。それにしても長曽我部先輩の正体って何なんだろう!?気になるー!!(かーこ)
小学生の快人と春奈、長曽我部先輩が登場する番外編はコチラ!
「天狗と宿題、幼なじみ」
『殺意の時間割』(角川書店:2002年)および『青に捧げる悪夢』(角川書店:2005年)所収
「幽霊屋敷にて人喰い鏡を見る」
『きみに贈るつばさ物語』(角川書店:2009年)所収
「砂人形おどる校庭で」
『少年探偵と4つの謎』(角川書店:2010年)所収
これは、僕にとって忘れられない夏休み.
『ぼくと未来屋の夏』 講談社:2003年、講談社ノベルス:2010年
一学期の終業式の帰り道、たくさんの荷物を抱えたぼくは、「未来屋」と名乗る変な男の人に、10円で「未来」を売りつけられた。これが、ぼくにとって忘れることができない、小学校最後の夏休みの始まりだった。将来は作家になりたいという夢を持つ小学六年生の男の子・風太くんと、自称「未来屋」・猫柳さんの、夏休みの物語。探検、幽霊の噂、花火大会.........小学生の夏休みはこうでなくっちゃ!というものがたくさんつまったお話です。猫柳さんの飄々としたキャラクターに憧れる読者も多いんじゃないかな。風太くん一家の夕食の光景で、ちょっと変わったスパゲティの食べ方をするシーンがあるんだけど、これがとてもおいしそうで楽しそう。一度試してみたいなぁ。(かーこ)
「少年名探偵WHO」シリーズ 講談社青い鳥文庫 武本糸会・絵
- 『少年名探偵WHO 透明人間事件』 講談社 2008年
- 「少年名探偵WHO 魔神降臨事件」 『あなたに贈る物語』所収 講談社 2006年
風太くんが考えたお話の主人公「少年名探偵WHO」が活躍するシリーズだよ!
幾多の困難があろうと、我が志を貫かん.
『復活!!虹北学園文芸部』 講談社:2009年
虹北学園中等部に入学したばかりの1年生・岩崎マイン。大好きな小説書きにいそしむため、もちろん文芸部に即入部!!......と思いきや、虹北学園には文芸部がない!?ないなら作ればいいじゃん!!というわけで、部員集めに奔走するマインだけど、パワー全開のマインに周囲はみんな引き気味で...。それでもめげる事なく、みんなで小説を書くという夢を叶えるために、真っ向勝負で挑戦し続けるマインに、心から応援を送りたくなります。彼女に負けじと勝負を受けるライバル達(本当はそれぞれに小説に対するまっすぐな気持ちを持っている)もかっこいい。元気で楽しい、なんだか前向きになれるお話です。(かーこ)
etc.
その他の作品
- 『怪盗道化師』 講談社:1990年 講談社青い鳥文庫:2002年 杉作・絵
- 『バイバイスクール 学校の七不思議事件』 講談社:1991年 講談社青い鳥文庫:1996年 吾妻ひでお・絵
- 『オタカラウォーズ 迷路の町のUFO事件』 講談社:1993年 講談社青い鳥文庫:2006年 とり・みき・絵
- 『ぼくらの先生!』 講談社:2008年
- 『恐竜がくれた夏休み』講談社:2009年 武本糸会・絵
- 『帰天城の謎 TRICK青春版』 講談社:2010年 鶴田健二・絵
- 『モナミは世界を終わらせる?』 角川書店 2011年
- 『赤い夢の迷宮』 講談社:2007年 講談社文庫:2010年 ※勇嶺薫名義
アンソロジー参加作品
- 「透明人間」 『本格ミステリ 01』(講談社 2001年)および『透明な貴婦人の謎』(講談社 2005年)所収
- 「心霊写真」 『きみが見つける物語 スクール編』(角川書店 2008年)所収 ※1
- 「少年名探偵WHO透明人間事件」 『忍び寄る闇の奇譚』(講談社 2008年) 所収 ※2
- 「打順未定、ポジションは駄菓子屋前」 『友情リアル』(講談社 2009年)所収
- 「後夜祭で、つかまえて」 『学園祭前夜』(メディアファクトリー 2010年)所収
※1......『少年名探偵虹北恭助の冒険』に収録されています。
※2......『少年名探偵WHO 透明人間事件』と同じ内容の作品です。
※掲載されている情報は、2012年12月までのものです。
座談会コーナー
Koh:皆さんが、はやみねかおるさんの作品を読んだきっかけは何ですか?
四識:兄に『都会のトム&ソーヤ』(以下『都会トム』)をすすめられたのが、きっかけです。その後、図書館で借りたり自分で買い集めたりしています。
降識:兄の本棚で、『少年名探偵虹北恭助の冒険』シリーズ(以下『虹北恭助』)の漫画版を見つけて読んだのがきっかけです。その後、小説を読んだのですが、漫画も小説も同じテンポで読む事ができて楽しかったです。
夜織:私は.........覚えていないですね。まぁ、それくらいよく読んでいるという事で。
千代:私は冒険ものが好きで、面白そうなものを探していた時に『都会トム』と出会ったのがきっかけですね。
かーこ:元々、青い鳥文庫のアンソロジーで、はやみねさんの作品はいくつか読んでいたのですが、本格的に読み始めたきっかけは、『名探偵夢水清志郎の事件ノート』の漫画版を読んだ事です。
Koh:小学校高学年の時に、クラスメートが持ちよった本を置く形の学級文庫があり、そこにあった『虹北恭助』と『怪盗クイーン』が面白そうなので読んだのがきっかけです。
夜織:私は『虹北恭助』をまだ読んでいなくて、読んでみようかなと気になっているんですが、この作品はどんなところが見所ですか?
降識:物語のテンポが良いし、扱われている事件も面白いので、推理小説の中でもハードルが低いので読みやすいと思います。
Koh:探偵の恭助と、ワトソン役の女の子のやりとりが良いです。最後にしんみりするエピソードも多いですね。はやみねさんの作品では、1、2番目に好きです。
降識:事件は和やかなものばかりで、推理ものをソフトにした感じですね。
かーこ:シリーズを通して主人公たちが小学生、中学生、高校生と成長してゆくのですが、その成長の過程も楽しめます。商店街が舞台になっており、商店街に住む大人たちも愉快なキャラクターがたくさんいます。
降識:高校生編は、漫画にもなっていますよ。
夜織:漫画があるの!?じゃあ読んでみようかな。
千代:私は、今まではやみねさんの作品は『都会トム』しか読んでいないんです。他の作品でオススメはありますか?
夜織:私も、『都会トム』と『怪盗クイーン』しか読んでいないんですが、内人と創也のような凸凹コンビが好きなら『怪盗クイーン』がオススメです。
降識:『都会トム』を好きなら、是非マーク・トウェインの『トム・ソーヤーの冒険』も読んでみてほしいですね。
四識:確かに、冒険ものというところは似ていますね。
夜織:でも『都会トム』は、タイトル通り、都会の冒険ものなので、びっくりしました。
四識:創也の素性ってそういえば...
夜織:(四識の口をふさぎながら)それを言ったらネタバレになっちゃうので、気になる方は『都会トム』を読んでみて下さい!
四識:『都会トム』は、主人公・内人くんのアイディアが豊富で面白いですよね。
夜織:内人くんもですが、それを教えたおばあちゃんは、もっとスゴイと思います。
四識:昔の人ならではのモノからモノを作る知恵を、現代の問題解決に活かしているのが、面白いです。
降識:そういうの大好き!
夜織:私は、創也は財閥の御曹子だけどなんだかヌケているところに親近感が持てて好きです。内人は.........普通の中学生ですよね。
かーこ:自称・普通ですね。
Koh:そうですね、サバイバル技術以外は...普通です。
降識:創也と内人のコンビは、ワトソンとホームズ、金田一少年と七瀬美雪みたいですよね。
四識:話はそれましたが、『都会トム』以外の、はやみねさんの作品では『虹北恭助』がオススメです。
Koh:私も『虹北恭助』はオススメです。『モナミは世界を終わらせる?』も良いですね。もうすぐ2巻の『モナミは宇宙を終わらせる?』が発売予定です。
夜織:では私は、難しいかもしれないけれど、『赤い夢の迷宮』をオススメします。実は中学生の頃に挫折してしまったのですが、大人向けという事なので、大人になってからまた読みたいです。
かーこ:綾辻行人さんの『館』シリーズに、雰囲気が似ていますよね。
夜織:頭をドロドロになるくらい疲れさせたいなら、オススメです。読んだ後は泥のように眠れます。
Koh:この作品は、「はやみねかおる」ではなく、漢字の「勇嶺薫」名義なんですよね。
夜織:はい。その理由は、あとがきに書かれているので、是非読んでみて下さい。ちなみに私はあとがきを読むまで、はやみねさんとは別人の作家だと思っていました。
降識:普段書いている児童文学とは真逆な雰囲気の作品が書けるのは、本当にすごいと思います。
千代:皆さんが、はやみねかおるさんの作品で好きなキャラクターやコンビは誰ですか?私は、『都会トム』の内人と創也です。
四識:僕は『都会トム』だと、創也のボディーガードの卓也さんが好きならです。
夜織:私は、卓也さんとボクシング青年の矢吹くんのコンビが好きです。
『怪盗クイーン』のクイーン、RD、ジョーカーも好きです。
降識:『虹北恭助』の高校生編に登場する、ミステリー研のメンバーが好きです。
Koh:私も、『怪盗クイーン』のRDとジョーカーのコンビ、好きです。RDは人工知能とは思えないですよね。
かーこ:RDといえば、RDを開発した博士を知っていますか?この博士は、『都会トム』の6巻に、創也の家のセキュリティシステムを開発した博士として登場するんです。つまり、RDと創也の家のセキュリティシステム・AKB24は兄弟という事に...。
夜織:私は、『都会トム』の美晴ちゃんのお父さん・堀越ディレクターの部下たちが好きです。『怪盗クイーン』にも登場しています。
Koh:『都会トム』では私は、内人たちのクラスメート・真田女史が好きです。
かーこ:真田女史は、「時見」という未来を予知できる不思議な力があるのですが、『ぼくと未来屋の夏』に登場する猫柳さんと同じ一族の出だとする説がありますね。また私は、『僕と先輩のマジカルライフ』が好きなのですが、この作品を読んでいる方はいますか?
Koh:ずっと前に読んでいると思うのですが、内容は...う~ん...
かーこ:『僕と先輩のマジカルライフ』に登場する大学生・快人と春奈は、『名探偵夢水清志郎』シリーズの『ミステリーの「館」へ、ようこそ』に登場しているので、よかったら探してみて下さい。はやみねさんの作品は、別々の作品でも世界がリンクしているところが面白いですよね。
Koh:『いつも心に好奇心!』で、夢水清志郎と怪盗クイーンは対決しているんですよね。
夜織:私も、『いつも心に好奇心!』を読みました。面白かったです。でも私、『名探偵夢水清志郎』シリーズはまだ読んでいないんですよね。ダメな探偵というイメージがあって。
Koh:夢水さんは、私生活はダメですが事件の時は名探偵ですよ。三つ子の姉妹が語り手のお話です。
夜織:『都会トム』で、好きなエピソードはありますか?また、どの巻が好きですか?
かーこ:内人くんの脳内に住むアシスタントのお姉さん・ナオコさんが好きです。
四識:5巻の『IN塀戸』が好きです。栗井栄太の考えたゲームが面白かったです。
夜織:7巻『怪人は夢に舞う 理論編』、8巻『怪人は夢に舞う 実践編』が好きです。創也が考えたR・RPGをプレイするところが好きです。
千代:私はマニアックなのですが、1巻での創也と内人が、砦で紅茶のやり取りをするシーンが好きです。創也が内人に紅茶を出して、「気に入らなければ砂糖でもレモンでもミルクでもぶちこみたまえ」と言うのですが、この「ぶちこみたまえ」が印象に残ってます。
四識:砦といえば、栗井栄太の一人・ジュリアスが砦に来た時に、トラップに引っ掛かりまくっていたのが、かわいそうでした。
夜織:それを乗り越えて創也のところにたどり着いた内人って...
千代:本当に、普通の中学生なのかなぁ。
夜織:いつも彼が「普通の中学生」と名乗るたびに、「どこが!?」ってつっこんじゃいますよね。
『都会トム』用語チェック!
卓也さん
本名・二階堂卓也。創也のボディーガード兼お目付け役。長身で鍛え上げられた体をもち、武術の心得もある。保育士を目指して転職活動中。
矢吹
プロボクサーを目指し、日々トレーニングに励む青年。トレーニング中に公園で卓也と出会い、練習相手になってもらうが...。
栗井栄太
四大ゲームと呼ばれる伝説のゲームを作ったゲームクリエイター集団。メンバーは、ハンサムなまとめ役・神宮寺、料理上手な美大生・柳川、駄菓子が大好きな美人作家・麗亜、外見は白人の美少年だが日本語しか話せない小学生・ジュリアスの4人。
ナオコさん
内人が作中で披露したサバイバル技術を説明する際に、すばらしい手際で解説を手伝ってくれるお姉さん。
砦
創也と内人の秘密基地の通称。廃ビルを使用しており、様々な罠が仕掛けられている。
Koh:はやみねさんの作品を好きな方に、オススメしたい作家・作品はありますか?
夜織:香月日輪さんの作品です。この作家の作品も、別々の作品同士のリンクが楽しめます。
降識:『都会トム』を読んでいる方は、マーク・トウェインの『トム・ソーヤの冒険』も読んでみて下さい。
かーこ:最近では「日常の謎」のジャンルが流行っており、米澤穂信さん、初野晴さん、似鳥鶏さん、坂木司さんなどが人気ですが、その中で加納朋子さんをオススメします。特に『少年少女飛行倶楽部』がオススメ。はやみねさんの『復活!!虹北学園文芸部』が好きな方にはぴったりだと思います。是非読んでみて下さい。
Koh:米澤穂信さんの作品は私もオススメです。ミステリーでは、霧舎巧さんがオススメです。キャラクター同士のリンクが楽しめる作家なら、村山早紀さんをオススメします。
最後に一言。
四識:いらない知識を増やしたいという方は、『都会トム』を読んでみて下さい。
夜織:はやみねさんは、爽やかで楽しいお話が多いので、興味を持った方は是非読んでみて下さい。
降識:『虹北恭助』は、推理ものをこれから読もうかなと思っている方に、是非読んでみてほしい作品です。
千代:『虹北恭助』が面白そうなので、読んでみたいと思いました。
Koh:作品によって主人公たちの年齢層も様々なので、自分に合ったものから読んでみてほしいです。
夜織:大人から子どもまで、みんなが楽しめる作品をたくさん書いているのが、すごいですよね。
かーこ:作品同士のリンクを、是非見つけてみて下さい。また、見つけたという方は、是非教えてください。
おわりに
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
はやみねかおるさんは、大人から子どもまで、男の子も女の子も、みんなが本当に心から楽しむ事ができる作家ですよね。はやみねさんの作品から、読書の楽しさと出会ったという方も、たくさんいるのではないでしょうか。
これからもどんどん広がっていくはやみねワールドを、みなさんお楽しみに!
発行:日野市立図書館
製作:日野ヤングスタッフ
装画:Koh、千代、かーこ※冊子版に掲載
平成25(2013年)3月