はじめに
こんにちは、ヤングスタッフです!
この冊子をお手にとっていただき、ありがとうございます。
有川浩さんの本を読んでいると、笑えて泣けてやきもきして、キュンとして、色々な感情を味わえます。 また、どの作品も、その舞台がとても魅力的で、自衛隊や演劇や大学サークルなどなど、自分の知らなかった世界にも知っている環境にも、更に興味がわいてきます。
この冊子では、そんな素敵な有川さんの世界に、どっぷりはまってしまった私たちスタッフが、それぞれお気に入りの本たちを紹介しています。
この冊子を通して、有川浩さんを知らなかった人は新しく、既に大好きな人にはよりたくさんの、有川さんの著作を読んでいただけたら、有川さんファンとして本当に嬉しいです。
FROM:かほ
作品紹介
未知の災害との戦い!? 自衛隊三部作―.
『空の中』・『海の底』・『塩の街』
『空の中』 アスキー・メディアワークス:2004年、角川書店 角川文庫:2008年
光稀と高巳、高校生の瞬と佳江、そして謎の生物「白鯨」。 様々な登場人(?)物が絡み合って、進んでいく物語。高校生と社会人、2つの視点で展開していくので、幅広い年代の人が楽しめる作品だと思います。文庫版に収録されている「仁淀の神様」も素敵。人間とは何なのか考えさせられる、心が暖かくなるお話です。 (かほ)
『海の底』 アスキー・メディアワークス:2005年、角川書店 角川文庫:2009年
横須賀に謎の巨大甲殻類(ザリガニ似)が襲来する! 物語は、潜水艦の中に閉じ込められた自衛官と子ども達、陸上で戦う警察官の2つの視点で進んでいきます。警察と政府の駆け引きや、機動隊(きどうたい)と巨大ザリガニとの戦闘、そして自衛官と女子高生の恋愛など、様々な要素で楽しめる本です。 (かほ)
『塩の街』 アスキー・メディアワークス:2004年、角川書店 角川文庫:2010年
登場人物たち全員が何か芯を持っていて、格好いい。(AtoZ)
大切な人を待つあなたに。(伊澄)
まさか、怪物ものでこんなに心がときめくとは思わなかった。(小弓染吉)
新しいんだけどどこか懐かしい感じがするというか。とにかく読んでみて~。(Koh)
自分の意志、迷子になっていませんか?(伊澄)
発想が凄い。海上自衛隊に惚れます。(AtoZ)
潜水艦の中は、歪みきっていた。(伊澄)
塩害――それは身体が塩と化してしまう病。世界は塩害によって終焉を迎えようとしていた。そんな中、元・自衛官の秋庭と少女・真奈は2人っきりで暮らしていたが... 身体が塩になってしまうという設定は恐ろしく、世界を救おうとする自衛隊と秋庭との駆け引きも、とても読みごたえがあります。しかし、この本で一番重要なのは年の離れた2人の男女の恋愛模様のように思います。終わりへ向かう世界という非日常によって、一層引き立てられる2人の想いは、読んでいて切なくなります。有川さんの描く、甘い甘い世界が大好きな人には、ぜひともオススメしたい1冊です。 (かほ)
「図書隊」の熱き戦いと鮮やかな活躍が満載!
「図書館戦争」シリーズ
- 『図書館戦争』 アスキー・メディアワークス:2006年、角川書店 角川文庫:2011年
- 『図書館内乱』 アスキー・メディアワークス:2006年、角川書店 角川文庫:2011年
- 『図書館危機』 アスキー・メディアワークス:2007年、角川書店 角川文庫:2011年
- 『図書館革命』 アスキー・メディアワークス:2007年、角川書店 角川文庫:2011年
- 『別冊図書館戦争Ⅰ』 アスキー・メディアワークス:2008年、角川書店 角川文庫:2011年
- 『別冊図書館戦争Ⅱ』 アスキー・メディアワークス:2008年、角川書店 角川文庫:2011年
図書館の自由が侵される時、我々は団結して、自由を守る。―「図書館の自由に関する宣言」より抜粋
「図書館の自由に関する宣言」からうまれた、有川さんの代表作。代表作と言われるだけあって、彼女の作品の良さが凝縮されています! これを読まずして有川浩は語れないです。有川浩さんの本が好きだけれど、まだ読んでない方はすぐにでも読んでください! そうでない方もぜひ読んで頂きたい!ほぼ間違いなく有川ワールドに引き込まれますよ!
...ただし、多くの人がいる所で読むのはオススメできません(特に電車内とか)。間違いなく怪しい人になります。実体験です。 疑う人はやってみてください。身をもって知る事ができるかと思います。 なお、文庫版には、アニメDVDの初回特典とされていた短編や書き下ろしの話が追加されています。以前ハードカバーで読んだ方。見逃してはいませんか?もったいないですよ!今からでも読んでみてくださいね。 (モクモ)
ノンストップ&ハイスピード。置いて行かれないよう、ご注意ください!(伊澄)
はちゃめちゃでドタバタで、有り得なくて、でもそこがいい! 有川浩さんの作品に、このシリーズから入ったという人も多いのでは。 図書隊と呼ばれる部隊が、本を検閲から守るために戦う物語。 図書館好きなら冒頭からかなりぐっときます。 検閲は嫌ですが、実際にこんな部隊があったらいいなあと思ったのは私だけではないはず。作中に日野市の図書館が登場するので、日野市民としても見逃せない作品です。 (かほ)
会話のテンポや思わず吹き出してしまうようなエピソードがとにかく楽しいです。 そして日野の図書館が好きになるはず...!(AtoZ)
預言者:「予言を行うぞよ~。何年か先の未来、図書館司書希望の人が増えるであろう~。」
一般人M:「い、今のうちになっておくしか...ない...だと?!」(小弓染吉)
柴崎が好きです!(かーこ)
いわずと知れた本なので、ひとコトだけ。 ―テスト前には厳禁です。(Koh)
「図書館内乱」に登場した、あのラブ・ストーリー
『レインツリーの国』 新潮社:2006年、新潮文庫:2009年
一冊の本がきっかけで始まったメールのやりとり。 メールを通じて言葉を交わすうちにお互いに惹かれあうが、彼女は会う事は出来ないと頑なに拒む。その理由とは... 『図書館戦争』シリーズの二作目『図書館内乱』とコラボした一冊。 その作品の一エピソードで取り扱った、ある事が題材として据えられており(ネタバレ防止のため伏せますが)、それこそがこの作品の最大の特徴だと思います。 とてもお話としても読みやすく、それでいて、そういった事について自然と考えさせられた気がします。 コラボとは書きましたが、『図書館内乱』を読んでいない方でも楽しめます。(モクモ)
『図書館戦争』シリーズで登場した本を実際に書籍化した1冊。シリーズを読んだ人はもちろん、まだの人も楽しめます。 他の作品と比べると、ストーリーの起伏は少ないですが、その分登場人物の感情が濃やかに描かれていて、聴覚障害者の抱える悩みなど、はっとさせられるところも多くあります。 オススメの1冊です。(かほ)
これは一つの「共通点」から始まった物語。 世界のどこかで本当にあったかもしれない物語だ。(公貴)
普通じゃない私が、普通の恋をしたらいけませんか?(伊澄)
自衛隊三部作の番外編も!有川浩がおくる傑作短編集。
『クジラの彼』 角川書店:2007年、 角川書店 角川文庫:2010年
潜水艦は沈むんじゃない、潜るんだ。 (伊澄)
自衛隊を題材にした短編集。『海の底』、『空の中』のスピンオフ作品も収録されているので、合わせて読むとより楽しめます。 全体的にかなりベタ甘指数高めですが、私が一番好きなのは「国防レンアイ」。不器用な男女の恋愛にキュンとすること間違いなしです!(かほ)
物語には「始まり」と「終わり」がある。 これは一つの物語の「終わり」の後の「始まり」の物語たちだ。(公貴)
『ラブコメ今昔』 角川書店:2008年
甘い、ひたすら甘いです。『青い衝撃』を読んでから、気がつくと空を見上げてしまいます。(AtoZ)
ベッタベッタのあっまあまな恋愛が盛りだくさんな短編集。ちょっと変わっているのは自衛官が題材である事。 突っ走り系の広報自衛官の女子が鬼の上官に「奥様のナレソメ」を聞き出そうとする話や、上官の愛娘と恋に落ちてしまい、思いは真剣なのに後一歩が踏み出せなかったり。 そう、自衛隊だって、鬼教官だって、誰だって恋はするのです。
恋愛小説が好きなら絶対に楽しめます。 ただ、有川ワールド炸裂中につき、電車内等で読むのは大変危険です!『図書館戦争』もそうなのですが、怪しい人になりかねません。 ベタ甘と呼ばれるだけあり、その破壊力は相当なものですので(笑)甘すぎによる胸焼けも注意!(モクモ)
阪急今津線沿線をめぐる、優しい連作短編集
『阪急電車』 幻冬舎:2008年、幻冬舎文庫:2010年
片道15分の複雑な人間模様。(伊澄)
阪急電車の停車駅をそれぞれ題名にした短編集。 登場人物の話す方言も心地よい、ひとつひとつの出会いや繋がりを大切にしたくなる1冊です。(かほ)
片道わずか15分の関西のローカル線。そこにそれぞれの生活を営んでいる乗客の人生が少しずつ交差し、一つの物語が紡がれていく。 映画化もされた一冊。個人的には初めて読む人にもオススメですね。 一話一話の短編としても読みやすく、全体としてまとまっています。有川さんの作品はほとんどが読みやすく、まとまっているのですが。 読むと電車に乗っているのが楽しくなります。電車に乗り合わせている人たちにもそれぞれ人生という名の物語があって...当たり前のことながら忘れがちなこの事に気づいて、今までより人が好きになりましたし、世界が開けた気がします。 有川さんの著書の中でも大好きな一冊なので、これをご覧の方にはぜひ読んでほしいです!(モクモ)
ほんわかLOVEとおいしい山菜料理をめしあがれ
『植物図鑑』角川書店:2009年
人間、拾いました。(伊澄)
とにかく装丁が素敵!表紙、裏表紙のイラストの可愛さはもちろん、本当の図鑑のような植物の写真も眺めているだけで楽しめます。 野草料理のレシピも掲載されていて、キュンとしてお腹が空く1冊です。(かほ)
「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか? 咬みません。躾のできたよい子です」 「―あらやだ。けっこういい男」 表紙に惹かれて手に取ったのがきっかけだったのですが... ある日、女の子が道ばたに落ちていたイケメンを拾った(しかも家事もこなせて植物に詳しいという完璧超人)という突拍子もない始まり。 予想外過ぎます。出だしの破壊力は有川さんの著書の中でも随一。落ち着いて考えると、ん?となってしまう方もいるかもしれません。 友人に言わせれば、ただただリアリティのある恋愛小説というよりは、夢のような恋を、できるだけリアルに描いた恋愛小説じゃないかなとの事。そう考えればこの突拍子のなさもありでしょう。 ですが、有川さんらしく心情描写もしっかりしていて、展開も飽きさせないため、気にならないとは思います。私はそうでした。 また、拾い主の女の子と拾われた彼の二人で行くお散歩(野草採りやお花見)が多々あるのですが、読んでいてかなり植物に興味を持ちました。すごく楽しそう! リアルでありながら夢のような恋のお話(+しかも植物の魅力も知る事ができるという大きなオマケ付き)。読んでみてはいかがでしょう?(モクモ)
街のトラブルシューターは、還暦のおっさん3人組!?
『三匹のおっさん』 文藝春秋:2009年
還暦のおっさん三人組が、自警団を結成し町内のトラブルを解決する連作短編集。 決して「最近の若い者は...」というような説教くささがなく、おっさん三人が自ら知恵を絞って行動し、事件を解決していく過程は、読んでいて爽快です。「則夫エレクトリカル・パレード!!!!!」がすっごくツボ!(かーこ)
WARUGAKI is forever.(伊澄)
かつて三匹の悪ガキと称された三人組。定年したからと言って爺さん扱いは嫌だと本業の傍らご町内の自警団を結成。 剣道の達人であり、近所のゲーセンに再就職したキヨ。柔道家で居酒屋「酔いどれ鯨」の元亭主シゲ。機械をいじらせたら無敵の頭脳派、工場経営者ノリ。 キヨの孫とノリの娘の高校生コンビも手伝い、詐欺に痴漢に動物虐待...身近な悪を成敗というお話。 有川さんの書くおっさんはみな強かったり豪快だったり元気だったり...とにかく個性が強く、話の主要人物になるのですが(「図書館戦争シリーズ」「県庁おもてなし課」等)、彼らもまたその通りです。 ピシッとしていていいキヨさん。厳しく口も悪いが頼れるシゲさん。娘の事となると暴走するが頭のいいノリさん。どれが欠けてもこのお話は成立しません。 作品として、恋愛要素は薄いですが、それ以外のところで有川ワールド、炸裂しています。これも大好きな作品なのでぜひ読んでほしいです。楽しめる事間違いなしです!ちなみに続編も「別冊文藝春秋」で連載中とのこと。 余談ですがノリさんのインパクトが未だ頭から離れません。みなさんも読んで頂ければわかると思います。(モクモ)
家族のために立ち上がれ!フリーター、一念発起の物語。
『フリーター、家を買う。』 幻冬舎:2009年
生まれ変わりたいあなたに。(伊澄)
最後のシーンが好きです。ドラマを見た方にもまた違う話として読んで欲しいです!(AtoZ)
嵐の二宮和也さんが主演でドラマ化し、有川さんの著書の中でもトップクラスに有名になった一冊。普段、本を読まない人に有川さんの話をする時は、大抵この本を挙げている気がします。 主人公の頑張りを見て、気がついたら応援したくなっていて、読み終わったら自分も困難に負けずに頑張ってみようという気持ちにさせてくれました。 母が近所から陰湿ないじめをうけ、鬱病に。原因である父は動こうとしない。母を助けるため、フリーターとしてだらだら過ごしていた主人公が家を買うために働いてお金を稼ごうとする話という出だしはドラマと同じですが、かなりドラマ用に話が変わっています。そのため、ドラマを見た人でも新鮮さを持ちながら楽しめると思います。小説未読の人も、要チェック!(モクモ)
小劇団「シアターフラッグ」の運命やいかに―.
『シアター!』
- 『シアター!』 アスキー・メディアワークス:2009年
- 『シアター! 2』 アスキー・メディアワークス:2011年
- 『もう一つのシアター!』 アスキー・メディアワークス:2011年
いいか、時間と金は反比例だ!(伊澄)
劇団再生の物語。個人的には、厳しい兄と天才肌の弟のやり取りが大好きです。 劇団や劇場の豆知識も得られます。演劇好きな人もそうじゃない人も、舞台を見に行きたくなる1冊。(かほ)
同じ役者としては、ものすごーく心がイタイこの物語。 他人事ではない...! そのくらい、面白いけど読むには覚悟が必要かも。(はりぃ)
読みごたえ抜群、人物も個性豊かでどんどん成長していきます。ハラハラドキドキ要素もあり。 有川さんらしい、名言やニックネームも多々あり、まるで演劇版「図書館戦争」のようです。ラブコメ要素はあちらと比べると少し薄いですが。 まだ完結していないシリーズですが、続きが楽しみで仕方ありません!
この作品が生まれるきっかけ、作中劇の元ネタとなった劇団「Theatre 劇団子」さんにより、「もう一つのシアター!」という舞台が行われています。 興味のある方はチェックしてみてはいかがでしょうか?(モクモ)
機械制御研究部-通称「キケン」へようこそ。
『キケン』 新潮社:2010年
男子の友情が羨ましい。 根っからの文系なのに本気で工科系の道に進もうかと考えてしまいました...! (AtoZ)
爆発物注意! (伊澄)
男子っていいなぁ。読みおわった後、真摯にこう思ってしまった。 個性的な部長・副部長との出会いも、学園祭のラーメン屋さんも、ロボコンの出場も、全てのエピソードが、大学生活でしかできない楽しさやハプニングに満ち溢れていて、男子らしいバカっぷりが全開なのがステキ。 徒花スクモさんによるマンガ調の表紙絵や扉絵、ラストの黒板の演出など、最初から最後まで凝っているところばかりで、飽きない1冊です。 「キケン」のラーメン、私も食べたいなぁ。(かーこ)
成南電気工科大学 機械制御研究部・略称「機研」。 個性的かつ信じられないような数々の事件を巻き起こし、周りからは畏怖と慄きをもって、「キケン=危険」、と呼び恐れられていた。 ...とにかくハチャメチャです。暴走っぷりは有川さんの著書トップクラスの一冊。 火薬大好き、何故、犯罪者として捕まらなかったのか不思議なくらい無茶苦茶な事をする爆弾狂、「機研」の部長、上野直也。 普段は温厚、怒ると誰にも止められない、名字が一文字足りないともっぱらの噂、「機研」の副部長、大神宏明。 彼らを中心に巻き起こった事件の数々...これまた小説だから許されるんでしょうけど、ってくらい派手ですね。爽快感、破壊力は抜群! どちらかと言えば小説というよりも、マンガのような内容なのですが... これを小説で書く事ができ、その情景が伝わってくるのは有川さんの文章力と徒花スクモさんのイラストだからでしょう。 ハチャメチャなお話が読みたい方、大学時代を懐かしみたい方にも、オススメできる一冊です。(モクモ)
切なくてたくましい、繊細なラブ・ストーリー
『ストーリー・セラー』 新潮社:2010年
覆れ!!(伊澄)
ウソかホントか有川さんに問い質したくなるような一冊。 (AtoZ)
小説家の妻と、それを支える夫に襲ったあまりにも過酷な運命。それでも彼女は物語を紡ぎ続ける。最高にして最愛の読者である夫のために... 小説家の妻と、それを支える夫を題材にした二話の中篇からなる恋愛小説。 話は重く、少し癖のある表現もあるので有川さんの入門とはいかないものの、丁寧な描写によりじっくり読める一冊です。 読んでいて、読む側とかの意見は人物たちと有川さん自身を重ね合わせたのかな...と思ったり。 癖のある表現も、最初見たときは、「ん?」となりましたが、読み直してみると納得のいく解釈が見つかりました。 話の終着点である最後も、綺麗にまとまっていたのも良かったかな。また読み直したい一冊です。(モクモ)
観光案内は、「おもてなし課」におまかせ!?
『県庁おもてなし課』 角川書店:2011年
あなたの信じているルール、本当に正しいものですか?(伊澄)
内容は堅苦しく思えるかもしれませんが、とても読みやすいです。「公務員」がどうとか深く考えなくても十分楽しめますし、参考になる所も多々あると思います。人物もなかなか。 ちなみに高知県に「おもてなし課」があるのは本当で、一部有川さんの実体験が含まれています。 そして、有川さんも高知県出身で、観光特使であり...読んでいるうちに吉門さんとかぶってきました。 この本を通して、物語を書きつつ高知をPRしていますが、ごり押しの嫌らしさとか無く自然です。そして、行ってみたいという気持ちに させられました。 高知県の事、全然知らなかったのになぁ... 堅苦しそうだな...と遠慮していた貴方もぜひ一度、これを機会に読んでみてはどうでしょうか?(モクモ)
作家・有川浩×演劇集団キャラメルボックス.希望の光の物語.
『ヒア・カムズ・ザ・サン』 新潮社:2011年
たった七行のあらすじ。それは演劇集団キャラメルボックスの公演パンフレットに書かれたもの。 この時点で脚本家はまだ物語を書いていない。そんな時、ある役者は呟いた。 「脚本家・成井豊と小説家・有川浩の二人の物語を読んでみたい」と。 ―こうして七行のあらすじから物語が紡がれた。
ネタバレを伏せるため具体的な事は書きませんが、一つ目のエピソードに出てくるとある人物の苛烈な生き様はとても印象的でした。 また、他の有川さんの著書と比べると、いつも通りのようで、何か少しだけ違うような気がします。...いや、はっきりとはわかりませんが。
実は中篇二話の構成になっているのですが...もう一つの方は読んで、または調べてからのお楽しみって事にしておきますね。 (モクモ)
角川文庫×BANDAI 小説つき入浴剤「ほっと文庫」より
『ゆず、香る』 角川書店 角川文庫×BANDAI:2011年
入浴剤とコラボという一風変わった企画の短編(注意!小説への防水加工はありません!)。有川さんはタイトルの通り、ゆず(高知県馬路村産)を題材にしています。 馬路村は「県庁おもてなし課」にも出てきますので、読んでいない方はぜひ一度そちらも読んでみると良いかもしれませんね。 小説は小冊子30Pと短いお話。仲の良い男女なのですが、タイミングがなく恋人にどうしても踏み出せないという、少しじれったいお話です。 読んでいるこっちがうずうずしそう、でも実際にありそうなリアルな感じが出ています。すぐに読めますので、小説初心者にもオススメできます。 (モクモ)
【アンソロジー参加作品】
- 『Sweet Blue Age』 角川書店 2006年(短編「クジラの彼」収録) ※1
- 『きみが見つける物語 恋愛編』 角川書店 2008年(短編「植物図鑑」収録) ※2
- 『まい・いまじね~しょん』 アスキー・メディアワークス 2008年(短編「恋愛のカミサマ」収録)
- 『好き、だった。』 メディアファクトリー 2010年(短編「失恋の演算」収録)
- 『Story Seller』 新潮社 2009年(短編「ストーリー・セラー」収録) ※3
- 『Story Seller 2』 新潮社 2010年(短編「ヒトモドキ」収録)
- 『Story Seller 3』 新潮社 2010年(短編「作家的一週間」収録)
- 『不思議の扉 午後の教室』 角川書店 2011年(短編「S理論」収録)
※1......『クジラの彼』に収録されています。
※2......『植物図鑑』に収録されています。
※3......『ストーリー・セラー』に収録されています。
※掲載されている情報は、2011年12月までのものです。
座談会コーナー
みなさんは、有川作品は、どのように読んでいますか?
伊澄:私は『図書館戦争』を初めて読んだ時は、本文は飛ばしてキャラクターのセリフや行動の部分だけを中心に読みました。それだけでも物語はつながるし理解できるんですよね。その後、また改めてじっくり読んだら、伏線などに気が付けて面白かったです。
モクモ:キャラクターに感情移入しながら読んでいます。いろいろなキャラクター同士の関係が面白いです。
有川作品にハマったきっかけは?
かほ:『図書館戦争』が本屋大賞に入賞していて、読んでみようと思ったのがきっかけです。
AtoZ:親の本棚にあって、手にとってみたのがきっかけです。小4の頃は挫折しましたが、小5になって再び読み始めて、はまりました。
伊澄:親が図書館から借りてきた本の中に『図書館戦争』があって、小6の頃に薦められて読みました。
モクモ:中2の頃、『塩の街』を読んで面白かったので、それから『図書館戦争』や『阪急電車』も読んで、はまっていきました。その後は親にも薦めて、今では親子で有川作品のファンです。
有川作品の好きなところは?
伊澄:物語のスピード感かな。あと、ベタな恋愛が少女漫画みたいに楽しめるのがいいですね。「くっつくんだろうな」って2人がちゃんとハッピーエンドになるのは、読んでいて安心しますね。
かほ:キャラクターのセリフが好きです。有川さんは、わけのわからない事は書かないし、正論のシーンもちゃんと面白いですよね。
モクモ:自衛隊のシーンなど、きちんと取材してあっていいですよね。細かいところまで丁寧に書いているし。
有川作品のメディア化については、いかがですか?
AtoZ:『シアター!』の舞台を見に行きました。脚本が『もう一つのシアター!』として出版されていますが、良かったです。映画版の『阪急電車』は、ウェディングドレスがキレイでした。
モクモ:メディア化は、本で読んだ時とイメージが違ったり、好きだったシーンがカットされていたりで、あまりすすんで見られないんです。でも、『図書館戦争』のアニメで動いている郁(『図書館戦争』の主人公。通称「熱血バカ」)たちが見られたのは嬉しかったです。『フリーター、家を買う。』は、ドラマとしては面白かったです。
伊澄:『図書館戦争』のアニメは、途中からアニメオリジナルの展開になってしまったのは、イメージと違って残念でした。でも、有川さんの作品は、他のメディアになって多少脚本が変わっても、楽しめるものが多いと思います。
有川作品のキャラクターについては、いかがですか?
伊澄:そういえば、有川さんの作品は、作品をまたいで似ている傾向のキャラクターが多いですよね。『図書館戦争』の堂上と小牧は、『海の底』の夏木と冬原に似ていますよね。
モクモ:『図書館戦争』の玄田さんと『県庁おもてなし課』の清遠和政とか。
かほ:『シアター!』の司と、『図書館戦争』の手塚・兄もよく似ていると思います。
伊澄:女性主人公は、パターンはいろいろあるけど芯が強い部分ではみんな共通していますね。
モクモ:『図書館戦争』は、有川さんが書きたい形のキャラクターが集まっている作品なんでしょうね。だから、『図書館戦争』が楽しめれば、他の作品も楽しめるのではないでしょうか。ちなみに1番好きなキャラクターは、玄田さんです!
伊澄:父親としては嫌だけど、学校の先生になってほしいタイプですよね。稲嶺さん=校長先生、玄田さん=学年主任、堂上さんや小牧さんが担任の先生とか。
モクモ:学園もの、いいですね。郁はテスト用紙で紙ヒコーキ作って飛ばして、うっかり先生に、それも堂上にぶつけちゃいそう。手塚・弟は優等生タイプ、柴崎はいろいろ知ってる同級生とか。
伊澄:手塚は、学級委員になりたくて立候補するんだけど、なぜか郁が選ばれちゃうんですよね、きっと。柴崎は先生の情報をいろいろ知ってて、ケータイを没収されちゃうんだけど、他にもケータイを持っていたりするんだろうな。
かほ:毬絵ちゃんは、小牧の後輩でもある生徒っぽいですよね。家庭科部とかやっていそう。
モクモ:『図書館戦争』以外の作品では、『三匹のおっさん』はそれぞれ剣道部や化学部の顧問とか。
伊澄:じゃあ、『植物図鑑』のイツキは、園芸部のOBですね。
有川作品で印象に残っているシーンやセリフは?
モクモ:『図書館戦争』より、玄田さんの「終わりか?」です。
伊澄:『シアター!』の司の、「時間と金は反比例」のところですね。
AtoZ:『図書館戦争』で、郁が「熊殺し」の異名を付けられてしまうシーンです。手塚がうろたえて逃げちゃうのも面白かったです。
かほ:『海の底』と『クジラの彼』がつながるところが好きです。
モクモ:有川さんの作品は、どれも爆発力ありますよね。
伊澄:絶対、電車の中とかじゃあ読めないですね。
まだ、有川作品を読んでいない人へ薦めたい作品は? また、1番好きな作品はなんですか?
伊澄:これから読む人に薦めたいのは『塩の街』ですね。展開もそんなに早くないし、文庫版は挿絵もあるのでキャラクターをイメージしやすいと思います。1番好きなのはやっぱり『図書館戦争』ですね。
かほ:初めての人には、短編集の『阪急電車』かな。好きなのは「自衛隊三部作」。『海の底』が1番好きです。
AtoZ:私は『フリーター、家を買う。』を薦めたいですね。あの最後のベタ甘に耐えられれば、きっと他の作品もいけると思います。1番好きなのは『図書館戦争』ですが、『キケン』も好きですね。
モクモ:コミカルな物語が好きな方には『三匹のおっさん』、ベタ甘好きなら『植物図鑑』、どちらもバランスよくなら『阪急電車』かな。1番好きなのはやっぱり『図書館戦争』だけど、『県庁おもてなし課』もいいなぁ。学ぶ部分が多くて、「面白い参考書」という感じになっています。
最後に一言、お願いします。
伊澄:来年、有川さん作品の学園もの本、つくります!
かほ:まだ読んでいない有川さんの作品も、読んでみたいと思います。
AtoZ:私の周りには、まだ有川さんの作品を読んでいる人が少ないので、今日はいろいろ話せて楽しかったです。
モクモ:今日の座談会は、いろいろ有川さんの魅力を再認識できた気がします。まだ有川さんの作品を読んでいない方は、ベタ甘や迫力ある展開のストーリーが好きでしたら是非読んでみて下さい。
おわりに
お読みいただきまして、ありがとうございました。
有川さんの作品のイメージにあわせて、爽やかさとほんわかした雰囲気を意識したレイアウトにしてみたのですが、いかがだったでしょうか?
座談会では、有川さんの描く作品のキャラクターの話題で盛り上がりました! 似ていると思うキャラクターの相関図や、登場キャラクターを学園ものの登場人物にたとえた作品を作りたいとの声も上がっています。なにか形にして残せるといいなぁ。
学校生活や部活動など忙しい中でコメントを書いてくださったみなさん、座談会で楽しい会話を繰り広げてくださったみなさん、かわいくてオシャレなイラストを描いてくださった伊澄さん、様々な面でサポートをしてくださった日野市立図書館職員ヤングスタッフ担当の皆様のおかげで、このリストも完成にこぎつけることができました。そしてこのリストを手にとってくださったみなさんにも心からお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
FROM:かーこ
発行:日野市立図書館
製作:日野ヤングスタッフ
挿画・挿絵:伊澄
平成24(2012年)3月