『『マルドゥック・スクランブル』全 3 巻』
- 早川書房
- 2003.5
自分が最初に読んだ冲方作品で、そして冲方ファンとなるきっかけともなった。何か面白い本がないかと「SF を読みたい!」(何年度版かは忘れた)を流し読みしていた時、SF 大賞受賞作とあり、目にとまり、早速借りて読んだのを覚えている。
主人公の少女バロットの成長と万能兵器ネズミのウフッコックとの交流を中心に、バロットを殺そうとした犯人を追い詰めていく。というストーリーですが、巧みな話の展開、魅力あるキャラクターを始め、科学技術の背景、退廃した世界観、ハードボイルドな雰囲気の中にもド派手な戦闘もありで、先へ先へと一気に読んでしまった。特に最後に仕掛けるカジノでの心理戦は文章量もそうだが、圧倒的な迫力で読み手に迫ってきた。それはもうアクション映画のクライマックスを見ているかのように。
マルドゥック・スクランブル」の続編である「マルドゥック・ヴェロシティ」や「マルドゥック・アノニマル」などもあるので、そちらもぜひ一読を! 冲方作品は SF だけでなく、ファンタジー・ライトノベル・歴史小説・ミステリー・サスペンス・ホラー・官能小説等々。また、脚本家としてもアニメ「蒼穹のファフナー」を手がけていたりと、それはもう縦横無人に様々なジャンルを書いている作家さん。何か読もうかなと困ったときは冲方作品を手にとって見ては?これは面白いと思える作品にきっと出会えると思う。 (S)