『中年の本棚』
- 紀伊國屋書店
- 2020年8月
読み始めてすぐ、驚くほどの共感の嵐!ページをめくるたびに「そうそう、そうなんだよな~」と苦笑とせつなさがこぼれる。文章がものすごく心に効く。刺さる、というやつですね。ここのところ、いまだかつてなく体のあちこちが痛くなるうえに、頭痛持ちときている。満身創痍じゃないか? 先日ドラマで見た、いい演技をする人だなあと感動した俳優さんが、だいぶ年上かと思っていたらほぼ同い年!と知って愕然としたりして。自分ももはや立派な中高年の域なのだと、今更思い知らされる。「文句なしにいい作品というのは、そこに表現されている心の動きや人間関係というのが、俺だけにしかわからない、と読者に思わせる作品です。」とある。確かに!上機嫌な大人であるためのコツを書いた田辺聖子、53歳のエッセイで「もう隠居したい」と書いた色川武大。水木しげるについても興味深く紹介されている。他にも読んでみたい本が沢山出てくる。引用ばかりで申し訳ないけれど、「これまでの人生は何だったのか―そんなおもいが去来したときは、今の自分がやっていることをすこし減らせというサインだと考えることにした。」ただ後ろ向きになるのではなく、考え方を変えてみるのも大事かもと気付かせてもらった。そしてラストの文章もまた最高。「未来の新中年諸君!あとはまかせた。」(W)