『ルリユールおじさん』
- 講談社
- 2011年
「なんでもおしえてくれるわたしの本が壊れてしまった。新しい図鑑ではなくて、この本をなおしたいの」。パリに住む少女ソフィーは、町の人に教えてもらった路地裏工房に行くと、そこには手に糸と針を持ったおじさんがいて・・。 ソフィーが訪れたのは、書籍(テキスト)を綴じ、表紙を仕立て、自分だけの本を作る伝統工芸ルリユールの工房。修復され、装丁されるたびに本を生き返らせる技術を持つ職人の情熱、本への愛情が伝わってきます。 この絵本を手に取ってふと思い出したのが、高校時代の教科書に載っていた『モロッコ革の本』(栃折久美子/著 埼玉福祉会 1993年)。こちらは、ルリユールを学ぶためベルギーへ留学した旅行記です。切れの良い語り口に圧倒され、授業そっちのけで読み進めたっけな。共通点は本への信頼、未来へつなぐ強い意志。 本好きな方におすすめです。(N)