『それでも僕は夢を見る』
- 文響社
- 2014.3

この本は、『人生はニャンとかなる!』や『夢をかなえるゾウ』などの著者の水野 敬也さんの文章を鉄拳さんが絵で表現した作品です。
2014年に出版された本で、その時も絵の表情に魅せられ読んでみたのですが、返却された本を見かけ、懐かしくなって手に取ってみました。
若かった"僕"は人生に夢を持って生きていました。この本で"夢"は擬人化され、いつも明るい表情で"僕"に寄り添い、励ますのです。でも志望校に落ち、就職も思うところには入れず、好きな人にも振り向いてもらえませんでした。そしてついに"僕"は"夢"と決別してしまいます。
孤独に年を取った"僕"が死を迎えようとするとき、同じように年を取り、力なく消え入りそうな姿で"夢"が現れます。"僕"に伝えたいことがあったのです。
自分も夢や希望というものを持ったこともありましたが、殆どにおいて叶いませんでした。自分が無力でとても惨めに思える時もたくさんあります。でも年を取って思うことは、それでもこうやって生きていられるのは、必ずどこからか、誰からかの救いの手があったからだということです。
最後に"僕"から手紙が送られますが、その文章がとても胸に沁みます。(K)
*「図書館員の本箱」-2020年に読んだマイ・ベスト-の連載は、本日最終回です。
2021年も皆様のくらしの中に本と図書館を。